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2015年11月5日木曜日

Let's ネガティブ☆ 〜後ろ向きで行こう〜 その2

当blogでは現在 "秋のネガティブ祭" 開催中!
ネガティブ☆その1 はこちら





ネガティブ☆その2
「TOUR TMN EXPO」における『T・M・N』



♫ ビートルズに会えなかった


さてTMN、いや、TM NETWORKの代表曲といえば「Tomorrow Made New」
「Tomorrow Made New」といえばアルバム「EXPO」収録バージョン
という認識が国際的にも広まってきた昨今ではあるが、
ここで ミツカワ史上、最高レベルのトラウマ を披露する。

ミツカワがいかに「Tomorrow Made New(EXPOバージョン)」 を愛しているのかは、
こちらのエントリーを目の穴をかっぽじってよく読んでいただきたい。
読み終わったら次はこっちだ。

もういっそのこと朝晩声に出して読むか、
心が乱れた時、この文章を大学ノートにでも書き写してみてほしい。
(何か効果があるとは言っていません)


で、だ。


アルバムが出たら次はいよいよツアーである。
そう、1991年9月から始まった「TOUR TMN EXPO」だ。

ただ自分としては、
「Tomorrow Made New」はすでに前回のツアーで演奏されていたため、
ひょっとしたら今回はセットリストから漏れるのでは?という不安があった。
そんなとき目にした雑誌の『TOUR TMN EXPO ゲネプロ密着取材』
そこにはこう書かれていた。

--- 以下、原文のまま ---

そんなわけで、いちばん気になる楽曲たちについて。これは驚いたことに1曲もらさず「TMN EXPO」のナンバーが登場する!いくらアルバム中心のコンサートだといっても1〜2曲は何らかの理由(再現不可とか不適当だとか etc.)で入らないのが結構普通だったりするのだが、彼らはあえて丸ごとやってしまう。それだけ「TMN EXPO」は葉っぱまで使えてしまう大根のように(?)無駄がなかったってわけだ。

--- 引用ここまで ---



『丸ごと』!『大根のように』!!



この言葉に全てを託し、ミツカワは10月に行われる中野サンプラザ公演へ行くことを決めた。
中野サンプラザは2DAYSだったのだが、
特に深く考えず(曜日すら確認せず) 2日目に行くことにした。


あっという間に公演日当日。


いや、さらに時を進めて公演終了後。
JR中野駅へと流れる人並みにズタズタのヨレヨレの
ボロ雑巾のようになったミツカワの姿があった。

やらなかったのだ…
「Tomorrow Made New」を。

その他のアルバム曲は全てやっておきながら
「Tomorrow Made New」だけが抜け落ちたコンサート…





           『仏造って魂入れず』とはこのことだ。




ただ、である。
まだ救いはあった。

実はこの日、某俳優がゲストに来ていて結構長々とステージ上で喋っていたのだ。
自分はそのせいで1曲削られたのだと、この時点では考えていた。
そして全ての責任をその某俳優に押し付け、早々と絶望から抜け出す。

そうだ、もう一度行けばいいじゃないか。幸い年末に埼玉・大宮ソニックシティ公演がある。

家にたどり着く前にもうこれを決め、
とりあえず「Tomorrow Made New(EXPOバージョン)」 を聴きながら眠りについた。





で、ここから先は皆さんのご想像どおり。
ミツカワは 絶望の年末 を迎えることとなった。

しかしその絶望とは、大宮公演でも演奏しなかったことでは無い。
“ツアー早期にセットリストから脱落した" とツアー終了後に知った事でもない。

真の絶望は、その脱落する直前、
「TOUR TMN EXPO」にて「Tomorrow Made New」が
最後に演奏されたのは中野サンプラザ1日目 だった
ということを知った時である。

つまり…ミツカワの行った日からやらなくなったのだ…




   ビートルズに会えなかった…(的なナニか)





ここに2冊の雑誌がある。
上がキーボードスペシャル。下がキーボードマガジンだ。
どちらもそれぞれ独自に「TOUR TMN EXPO」の取材をしている。



面白いのはキーボードスペシャルは中野サンプラザ初日
キーボードマガジンは中野サンプラザ2日目を取材していることだ。
セットリストを比べれば「Tomorrow Made New」だけが脱落していることが分かる。
(10曲目に注目)

(初日のセットリストに「Think Of Earth」が無いが、これはキーボードスペシャルのミス。
 実際は演奏されている)




実はこの後、「TOUR TMN EXPO」ではセットリストの変更が相次ぐ。
その結果、最終的にはアルバム「EXPO」の裏メインテーマとも言える
「Think Of Earth」すら演奏されなくなり、
ここまでくると、もはやアルバム「EXPO」を冠したツアーなのかも疑問だ。

このコンセプトのブレ方やその後のTMNを考えると、
この時点ですでに内部的にはいろいろあったのではとまで疑いたくなる。




しかし、それにしてもわずか1ヶ月で脱落してしまった「Tomorrow Made New」
ふがいない限りだ。
お母さんはあなたをそんな子に育てた覚えは
ありませんよ!!(喝)




 『全曲フルに再現するのは、今回大前提になってるんですね。
  パビリオンということでやっているから、1ケ所閉館というのもおかしいしね。
  フルエントリーですね』ツアー開始直前、小室哲哉の発言

…この言葉をかみしめて24年。
ミツカワの傷は未だ癒えない。







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♫ さあ、オルガンの数を数えろ。


まぁこれだけではなんなので、少し 重箱のスミ!っぽい話を。
ではなぜ
「Tomorrow Made New」は脱落したのか?という話。

世間巷では "次曲「WILD HEAVEN」のシーケンスデーターを読み込む時間が確保できず、
曲間に妙な間ができてしまうから外された" というのが定説として語られている。



            これ、本当にそうなのだろうか?



「TOUR TMN EXPO」と言えば、ほぼ全曲で打ち込みが有り、
ここの部分だけが突出して問題化するというのは不思議だし、
もし仮にこの説通りだったとしても
・曲順を入れ替える
・先にシーケンスだけ抜けて、次の曲のロードを始める
など回避方法はあるはずだ。

この説の出所 はどうやらツアー中に出版された、
藤井徹貫・著「TMN EXPOストーリー(上)」のようだ。
とりあえずこれを確かめるため…というか、これを確かめるため だけ に、
昨年こちらのエントリーを書く際、同時に購入しておいた。(まだ読んでないが)





まずこの説の検証に入る前に、大前提 を書いておかなければならない。

非常に屈辱的ではあるが、そもそも「Tomorrow Made New」という曲は
アルバム「EXPO」の中で浮いている(というより沈んでいる)
ということは 認めざるを得ない。


小室哲哉はアルバム「EXPO」リリース時のインタビューにて
"曲作りよりも曲順を決めることに苦労したアルバム。何度も何度もやり直した”
と語っていた。
確かに個性豊かな 曲者ぞろい で、
これらを並べてひとつの流れを作るというのが難しい事は、素人でも想像がつく。

その "流れを作る” と言う意味では、
地味に「Tomorrow Made New」をどこに置くか?も悩みの種だったと思われる。
それほどこの曲はアルバム「EXPO」の中で、どこに置いても沈んでしまう曲と言えるだろう。
(現在、歯ぎしりしながら執筆中)



これはツアーでも同じだったと思う。

ツアーでは中盤の
  フォークコーナー → メタルコーナー
   → 浅倉大介ソロコーナー →「月はピアノに誘われて」 が終わり、
再び舞台上にバンドがそろって、後半スタートという1曲目に演奏されていた。
(先のセットリストを参照)


いよいよこれから最後の盛り上がりとなるこの位置で演奏する曲なのか?
という疑問は、ミツカワですら悔しいが抱かざるをえない。

なので 元々その立場は危うかった、ということはあったと思う。
その収まりの悪さから、何か問題が起これば、
真っ先に削除リストに上がる曲だった、という前提で以下を進める。






で、「TMN EXPOストーリー(上)」だ。

このエントリーのために初めて目を通したが、
もう悲しくなるほど「Tomorrow Made New」という文字列は印刷されていない。
とりあえず確認できたのは3箇所のみ。
そのうち当エントリーに関係する2箇所を順番に見てみよう。


まず14ページ目。
ツアー初日公演が終了した時点での、演出家・鬼塚玲二とメンバーで所感を述べ合う場面だ。




この通り、データーロード時間に起因する問題について鬼塚玲二がまず口にしているのは、
むしろ「WILD HEAVEN」とその次の「JEAN WAS LONELY」であり、
それに呼応する形で宇都宮隆が「Tomorrow Made New」の名を出すという流れだ。

やはり単にデーターロード時間だけなら
「Tomorrow Made New」だけの問題ではなかったのだ。



もう1カ所。こちら53〜54ページにわたっての小室哲哉と舞台監督・松村義明の会話




小室哲哉がこの問題についての1つの解決策を提案している
この方法も先に書いた通り、非常にオーソドックスな解決方法だ。

これにより極寒の問題(注)一応の解決を見たともとれる。

   (注)本当は『曲間の問題』と打ち込んだのだがこのように誤変換された。
      あまりにも自分の心を表しているので、あえてそのままとする。

他の資料をあたっても、中野サンプラザの時点までこの問題を引きずっていたとはとれない。
こうしてみると「Tomorrow Made New」の脱落に関しては
データーロード時間が直接的な原因ではないのでは?とミツカワは考えるのだ。
(むしろ先の流れに対する収まりの悪さの方が問題としては上位なのではないか)






しかしその上で「TOUR TMN EXPO」における「Tomorrow Made New」は
もう一つ問題を抱えていた のだ。





それはこの曲だけのために もう1台オルガンを用意し、
この曲を演奏する時だけ引っ張り出す & 終わったら片付ける。
という手間が必要だったということ。

ミツカワはデータロード時間よりも、
こちらの方の 時間ロスと演出的な微妙さ が問題視されたと考える。



この画像を見て欲しい。
「TOUR TMN EXPO」(ホールツアー)における小室ブースだ。(注)
ご覧のように元々オルガンはブース内に1台セットされている。(矢印部分)

余談だが、DVD化されているアリーナツアー
「TOUR TMN EXPO CRAZY 4 YOU」でのセッティングとはかなり異なっている。
TM史上、ホールツアーとアリーナツアーで
ここまでセッティングが変わったのは「TOUR TMN EXPO」だけだ。

















  (注)ただ厳密に言うと、このセッティングになるのはツアー2日目から。
     初日はキーボードスタンドA・Bがそれぞれ2段組となっていて、
     Aの上段にYAMAHA SY99 下段にシンクラヴィア・キーボード 
     Bの上段にメモリーモーグ 下段にターンテーブルというセッティングだった。

     しかしこれではスクラッチ中の小室哲哉が観客に背を向けることになり、
     ナニをやっているのか伝わりにくい、という理由で急遽組み替えられた。




話を戻すと、元々オルガンはセットされているものの、
こんなに上に積み上げてしまっては「RHYTHM RED TMN TOUR」で見られたような、
お得意の激しいプレイは無理だ。




そう、「Tomorrow Made New」で使うのは
このオルガンではないのだ。





次の画像を見てみよう。少々分かりづらいが上下2枚の写真が印刷されている。
一番下の鍵盤が小室ブースにセッティングされているハモンドオルガン。(上記の矢印部分)
しかしこの画像をよーく見てほしい。
この中にもう1台ハモンドオルガンが写っているのが分かるだろうか?






           ・・・・・




                 え?分からない?



では、画像右上を拡大してみよう。
もう1台のハモンドオルガンはここだ。











           ・・・・・





みんな、すまんのう…。

なにせ「TOUR TMN EXPO」(ホールツアー)自体が全く商品化されてないうえに、
「Tomorrow Made New」はたった1ヶ月で脱落したもんだから、
マトモな資料が残ってないのよ(号泣)

おまけにこのツアー、メディアへの写真取材解禁日がこの中野サンプラザ初日だったのだ。
つまり外部メディアが「Tomorrow Made New」を
カメラに収めるチャンスはこの日だけ しかない!
はっきり言って期待しても無駄である。
あとはアーティスト側で撮影したものから見つけ出すしかない。







というわけで皆の衆!
ミツカワにも意地ってものがあるのだ!!
この絶望的な状況の中、
分かりやすい写真を2枚見つけ出したので御覧いただこう。


まずは
もう一台のハモンドオルガンの設置状況 がはっきり分かる写真。




小室ブースとその奥にある舞台セット2階部分につながる階段との間に、
もう1台オルガンがあることが分かるだろう。

小室哲哉はこれを「Tomorrow Made New」の時だけ向きを整え、演奏するわけだ。
(さらにこのオルガンの奥にはレスリースピーカーが2台、それぞれ専用に並べられている)




で、その演奏シーンがこちら。



小室哲哉がブースの外に出て演奏していることがわかる。
「RHYTHM RED TMN TOUR」 での「World's End」みたいな感じだろうか。
ただし残念ながら、この写真はツアーそのものではなくリハーサル時のもののようだ。

で、演奏が終わったらまた元に戻し、小室哲哉はブース内に戻り「WILD HEAVEN」に備える。


…というわけで、セットリスト上の位置を考えてもこの演出は微妙っす…。
これでは「Tomorrow Made New」氏、
試合が始まる前から既に負けていた と言えるだろう。





もっともこの演出がもし「WILD HEAVEN」であったら、
何しろツアーで先行発表するという目玉曲の1つであったので、
万難を排してでも演奏されただろう。
考えてみれば、この「Tomorrow Made New」→「WILD HEAVEN」という曲順は、
前ツアーでの先行発表曲 → 今ツアーでの先行発表曲 という流れだったわけだ。

ちなみにツアー後半に入ると「LOVE TRAIN」を差し置いて
「WILD HEAVEN」がオープニング曲の座に座る。
この扱いの差…。どこで差が付いたのか。慢心、環境の違い…。

さすがにツアー開始1ヵ月・全66公演中12公演でおろされては、
映像どころか音声すら収録されていないと思われる。




       good-by 俺の青春。




以上、
「Tomorrow Made New(EXPOバージョン)」こじらせ系中年、
ミツカワがお伝えいたしました。ウウゥ…


んじゃ、また。
ウウゥ…









2014年5月31日土曜日

日本EXPO化計画 〜 俺に [EXPO ver.] を弾かせろ

とある泉のほとりにて

 神 『ミツカワよ。お前が落としたのはこの「17 to 19」か?
    それともこの「グリニッジの光を離れて」か?』

ミツカワ『いえ神様、私が落としたのは1991年秋にリリースされた、
     アルバム「EXPO」収録の「Tomorrow Made New [EXPO ver.] 」
     (以下 [EXPO ver.])でございます』

 神 『ミツカワよ。お前は正直者じゃ。
    褒美として1990年冬の『RHYTHM RED TMN Tour』にて先行披露された
    この「Tomorrow Made New  [RHYTHM RED Tour .ver]  」
    (以下 [RHYTHM RED ver.])を授け…  』


   テメェ、何しやがるっ!
    余計な事してんじゃねぇーっ!






              閑話休題






ここのところすっかり『☆Tomorrow Made New 芸人☆』と化しているミツカワ
世間ではまだまだ30周年の話題でかまびすしいですが、
当・重箱ブログとしては この話題が本筋ですっ!(血走った目)



というわけで、今回はついに訪れた決着の時。
「Tomorrow Made New」の [RHYTHM RED ver.] と [EXPO ver.] を比較しつつ、
改めてこの曲の魅力に迫っていきましょう。

        ↑
     (建前)

     (本音)
        ↓

って、そんなワケねーだろー。
コレ読んだ奴、
全員まとめて [EXPO ver.] にしてやるっ!!
(興奮のため、自分でももはや何を言っているのかよくわからない)




なお、まだ前編を読まれていない方は、こちらを先にどうぞ。






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そもそもの事の起こりは、こうである。

永年の夢であった「Kiss You」の弾き語りを無事終えた、
というか強引に終わらせたミツカワは、次なるターゲットを
「Tomorrow Made New [EXPO ver.] 」の弾き語りに定めた。



…え~と、ここは突っ込み所ではない。
本人が好きなものを選んでるだけである。
あなたにもし優しさがあるなら、そっとしてやっておいて欲しい




早速、鍵盤に向かって耳コピを始めたのだが
どうあがいても腕は2本しかないため、その場面、場面から
一番目立つ音をピックアップして繋ぎ合わせていくことになる。


しかしそうすると、あっという間に
 [RHYTHM RED Tour .ver] の出来上がり!
になってしまうのでございますよよよ・・・(号泣)



敗北である。屈辱である。
いかん!断じていかん!!
俺がやりたい事はこんなことじゃない。




そこで、どうやったら2本の腕だけで [EXPO ver.] を再現できるのか、
いったん鍵盤の前から離れ、
自分の思う [EXPO ver.] のイメージや特徴を書き出してみることにした。






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まずはイメージから。

それぞれのバージョンについて、
思い浮かぶキーワードを羅列すると、こんな感じだろうか。


[RHYTHM RED ver.] → 泥臭い・ヘビー・モノトーン
[EXPO ver.]     → スペーシー・軽やか・カラフル


もちろんこれはミツカワ個人の印象ではあるが、
例えばポジティブな評価である『軽やか』を
『軽くなってしまった』とネガティブに読み替えれば、
感じたポイント自体は、[RHYTHM RED ver.]  派の皆さんと同じではないかと思う。




次にこのイメージを生み出している、
具体的な特徴を箇条書きにしてみた。

[EXPO ver.] は [RHYTHM RED ver.] と比較して、以下の特徴がある。


・テンポが速い
・全編に渡る16分音符の裏ウチ
・16分3連の装飾的フレーズ
・Bass のアクセント位置
・Aメロ、及びサビのチェンバロ風音色のリフ
・オルガンソロ
・後半に現れるストリングス


ここでは以上、7点を [EXPO ver.] を特徴づけているポイントに設定した。






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では、 1つずつ見ていこう。




・テンポが速い

これは、このとおりである。
ただ、テンポ(とキー)の変更は、想像以上に
曲のイメージに影響を及ぼすという事は伝えておきたい。
それゆえに、一番最初に書いた。





・全編に渡る16分音符の裏ウチ

冒頭からシェイカーの音色で、
『スチャ・スチャ・スチャ・スチャ』と全編に渡り、延々と打ち込まれている。

これが先に述べたテンポの速さと相まって、かなりせわしない印象を与えている。





・16分3連の装飾的フレーズ

シェイカーと同じく冒頭からエンディングまで、
延々とチェンバロ風の音色によるパッキングが録音されている。

このチェンバロ風の音色はかなりボリュームが絞られており、
先のシェイカーと一体化して聴こえるが
シェイカーが延々16分音符の裏打ちを辛抱強く続けるのに対し、
このチェンバロ風の音色は所々、
抜け駆けするように3連符になる。

この3連フレーズになった瞬間、
主メロやギターリフの隙間から、かすかに聴こえてくるのが
ゾクッとして、ミツカワとしてはかなりツボなのである。



このフレーズのネタ元はおそらく [RHYTHM RED .ver] のBメロで聴かれる
『ダダダダダダ・ダーダッ』という16分音符連打のパッキングだろう。




























さらにこの3連フレーズや、ベーシックなバッキングを弾いているオルガンには、
かなり大げさにディレイがかけられていて、
これがその瞬間、瞬間に空間全体に弾け飛び、
後に述べるサビのリフと並んで、
この曲をカラフルに彩っている。


TMの曲でベーシックなパートに、ここまで派手なディレイがかけられているのは珍しく、
アルバム「EXPO」期、特有のものといえるのではないか。
同時期に制作された、雑誌 K's MAGAZINE Vol.3 付録CD版の「大地の物語」でも
似たようなサウンドデザインがなされていて興味深い。






・Bass のアクセント位置

両バージョンのイメージの違いにいちばん影響与えているのが、これかもしれない。
両バージョンの Bass は似ているように見えて、根本的な部分が全く違う。



 [RHYTHM RED .ver] では、全てのアクセントが拍の頭 Just にきている。









曲に合わせ「1・2・3・4・1・2・3・4・~」と手を叩きながら聴くと、
すべての拍で Bass のアクセントと一致するのが分るだろう。

また、ひとつひとつの音の長さにも注目しよう。
3拍目の裏以外は伸ばした音で
隙間なく埋まっている。

これが、一歩一歩足を踏みしめて歩いていくような、
ヘビー、かつアーシー(earthy)な雰囲気を生み出している。




しかしそれが [EXPO ver.] ではこうなる。









3拍目のアクセントがシンコペーション(注)しており、
また、4拍目裏の部分は次の小節頭にむけての導入的フレーズである。

先のように曲に合わせ「1・2・3・4・1・2・3・4・」と手を叩いても
各小節1拍目でしか一致しない。
  (注)シンコペーション=アクセントとなる位置を前後にずらして、
     単調ではないリズムを産み出すこと。



また、それぞれの音の長さも16分音符主体となっており
結果的に、空白(間)の多い譜割 となっている。

これらの要素がテンポの速さと相まって、
地に足がつかない、地面からフワリと足が浮いたような
それでいて、グイグイと前に引っ張られるようなノリを産み出している。




ちなみに、Aメロ部分のベースが単純に繰り返しでなく、
1カ所だけ伸ばした音が混じるところを見ると、
この Bass パートは手弾きで入力したものと思われる。




また、本来 Bass とコンビネーションを組むバスドラムに注目すると、
かなり自由に(Bass とピッタリ合わせず)演奏されていることが分る。
(もっとも阿部薫が演奏した時点では、まだこのBassが入っていなかった可能性もあるが)
しかしそれがオルガンソロの部分のみ、カチッと合わせているのが興味深い。






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ここまでが曲の骨組み部分。いわゆるリズム隊である。

これらの要素はすべて、曲の冒頭から聴くことができる。
おまけに前回指摘したように心地良いバウンスビートである。
こちらのエントリーで書いた『わずか2小節でこの曲のとりこになった』という表現が
決して大袈裟な言い回しではなかったことが分っていただけただろう。



特にミツカワにとって音楽は Bass が占める割合が非常に高いので
冒頭の数小節、まだリズムだけの状態で、
すでに80点近くになっている のだ。





しかしここからさらにミツカワのツボをつきまくる要素が加わってくる。
"キラキラ" である。
ここからは曲に彩りを与える装飾部分、いわゆるウワモノを見ていこう。






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・Aメロ、及びサビのチェンバロ風音色のリフ

全体に渡ってメロディーらしいメロディーの無いこの曲において、
この印象的なリフが、事実上 [EXPO ver.] の顔とも言えるだろう。












しかしこのリフ、聴く人が聴けばすぐに気づくように、
The Beatles「Lucy In The Sky With Diamonds」の引用となっている。
(比較しやすいように、KeyはGに統一してあります)












譜面を見ればわかるように使われている音程は全く同じである。
というより、4分の3拍子(Lucy In The ~)に、G音を1つずつ足して、
4分の4拍子(Tomorrow ~)として
弾き直しただけである。(譜面参照)


























だが「Tomorrow Made New」との共通項はそこだけでは無い。
奇妙で取り留めも無い歌詞やタイトルにも注目しよう。



The Beatles「Lucy In The Sky With Diamonds」は
タイトルの頭文字を繋げると『L・S・D』となる事から、
この奇妙な歌詞とサイケデリックな曲調は、
ドラッグによるトリップ体験を表現したものだと騒がれ、
イギリス本国では一時期、放送禁止に追い込まれた。


もちろん「Tomorrow Made New」には、そんな物騒な意味は無い。
ただ「Lucy In The ~」の騒動は、小室哲哉だけでなく、
この年代のミュージシャンなら誰もが知っている話である。

リニューアル直後で『TMN』という名前を売りたい小室哲哉が
この曲の歌詞を発注した際、
 "T/M/N にひっかけた言葉遊び” というアイデアに、
『「Lucy In The Sky With Diamonds」
  のような~』
という形容詞を付けていても、おかしくはない。



この制作初期のイメージというのは、
完成したものが結果的には全く違うものになったとしても、
意外と製作者の頭に残り続けるものである。
(そしてそれは "結果しか知らない” リスナーとの間に、
 イメージのずれを産むこともある)
以前、こちらのエントリーでも似たような考察をした。




この時点では、単に例として引用しただけの「Lucy In The ~」が、
ツアー終了後、いざ [EXPO ver.] を作成する段になり、
頭によみがえってきた のではないか。

その結果が、この「Lucy In The Sky With Diamonds」そっくりな
リフの誕生へと繋がったのではと考える。


前回、この曲のタイトルと [EXPO ver.] の成立には関連があるのではないか?
と書いたのはこういうわけだ。




さてこのリフ、バウンスビートと合わさって、
シンプルでありながらとても心地良いリフである。
まさに『聴いて良し!弾いても良し!』だ。
ぜひみなさんも、このリフにチャレンジして欲しい。




・後半に現れるストリングス

1番のサビが終わると、前編にも書いたように
TM曲、唯一のオルガンソロが展開される。
ここはいつもの手癖満載なのだが、やはりかっこいい。
この時点で次から次へと、矢継ぎ早にご褒美が押し寄せてきて、ミツカワは Heaven 状態。



が、しかし、
ご褒美は、これで終りではなかったのだ!



オルガンソロが終わった直後のサビで、
初めてストリングスマシンによるフレーズがかぶさってくる。
このストリングスの音色といい、フレーズといい、
またまたミツカワ好みのフレーズであり
もうこの瞬間、ミツカワは解脱状態である。




ミツカワにとって「Tomorrow Made New [EXPO ver.] 」は、
まさに 音の満漢全席 なのだ。





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さて、ここまでは各パート別に見てきたが、
もちろん一番最初に聴いたときから、
こんな各パートごとに聴いていたわけではない。

各パートについてはその後、冷静になってから一つ一つ切り別けて分析したのであり、
初めは耳へ塊でドーンと飛び込んで来た瞬間、
わけもわからず恋に落ちた のである。


ここではその初期衝動、
そもそも何で [EXPO ver.] に、
こんなに思い入れがあるのか?を書く。
極私的ではあるが、ミツカワとってのTM NETWORKとは?という
根幹にかかわる話なので
最後にコレを説明して、このエントリーを終りにしたい。




この関連エントリーの初めから
ミツカワは [RHYTHM RED ver.] に興味がないと書いてきたが、
実は1カ所いじるだけで大好きな曲になる



その方法とは、クレジットを『TMN』ではなく
『葛城哲哉 supported by TMN』にする。


これだけである。
こうするだけで、同じ曲でもミツカワにとっては
かなりツボにはまる曲となる。



以前こちらのエントリーにも書いたが、自分にとってTMとは
『ファンタジックと骨太という一見相反するものが融合した稀有な存在』
というものなので、骨太ではあるがファンタジックの要素をまるで感じない
 [RHYTHM RED ver.] には興味が持てないのだ。
(歌詞にかすかなSF臭がするくらいか)



しかし最初にあげた [RHYTHM RED ver.] のイメージである
 → 泥臭い・ヘビー・モノトーン は、
このツアー当時の葛城哲哉のパーソナルな魅力と見事に合致するので、
そこはかとなく漂う Led Zeppelin 臭も含め、
彼の曲だと思えば、かなり楽しめる。



しかしこれが、
「TMにしか作れない曲か?」
となると少々首をかしげてしまうのだ。
(これは本質的な話なので、その表記が TM NETWORK か TMN かは関係ない)





前回のエントリー以降。多くの方々からこの曲に対する考えを聞かせていただいたが、
その中の [EXPO ver.] に批判的な意見として
『とってつけた感じがする』というのがあった。

実はコレ、ミツカワも同意である。
その "とってつけた要素" が、たまたま自分のツボにはまる内容だっただけだ。

今回見てきたサウンドだけではなく、
例えば歌詞中の「♪月とピアノの悲鳴~」などは
アルバムのトータルコンセプトに無理やり合わせるための
とってつけた感が半端ない。



しかし、なぜ歌詞も含め新たな装飾を
『とってつけなければいけなかったのか』と考えてみると、
やはり小室哲哉自身が [RHYTHM RED ver.] に対して、
TMの作品としての必然性、説得力が弱い、と判断したからではないか?

 [RHYTHM RED ver.] は、TMN へのリニューアル、
そして新サポートメンバー葛城哲哉を迎えての高揚感の中で作られたものに感じる。
それだけに、この曲をいざ TMのアルバムに収録する、となったとき、
何らかの(ファンサービス以上の)
必然性を与える必要に迫られた。

ましてやコンセプト優先のTMとしては、この時も
『月とピアノ』と言うコンセプトを掲げており、
その面でも何らかのすり合わせを行わなくてはならない。




つまり [RHYTHM RED ver.] における、
葛城哲哉の圧倒的な存在感に対抗するための
『何か』を仕立て上げなくてはならない
と判断した。

その結果が人によってはミスマッチ、あるいは装飾過多にも感じる
とってつけた感の正体ではないだろうか。




しかし、ここまで装飾を施しても、
葛城哲哉のギターの持つプリミティブな臭いは全く消せていない。
Produce という意味では、小室哲哉の敗北に見える。

この曲がこれ以降、現在に至るまで顧みられることがないのは必然であろう。
(現在、涙を流しながら執筆中)




だが、しかし、もしかしたら、ひょっとすると、
この30周年ではサウンドではなく歌詞の部分(starchild~など)で
捲土重来を期すのではないかという、期待とも妄想ともつかない、
重い(誤変換だがあえてこのまま)を抱いております。





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さてミツカワにとって、初期衝動という意味では、これと同じ境遇の曲がある。
シングル「All-Right All-Night」である。


アルバム「GORILLA」でファンキーで骨太なダンスミュージックへと舵を切った
TM NETWORK ではあったが、
それ以前のファンタジックなスタイルはすっかり影を潜めてしまった。

「Nervous」や「Passenger」を大好きにはなったが、
そこにはもはや、以前のファンタジックな TM NETWORK の面影はなく
アルバム「RAINBOW RAINBOW」で産湯につかり、
アルバム「CHILDHOOD'S END」でドはまりしたミツカワとしては、寂しい想いがあった。





そこへ現れたのが、シングル「All-Right All-Night」だった。



























この曲では「GORILLA」直系の
・派手なブラスセクション。
・ぐいぐいと曲を引っ張る、骨太な生の Bass。

は、そのままに

・イントロから聴けるピコピコシーケンス
・間奏の哀愁を帯びたリフ(前シングル「GIRL」と全く同じフレーズなのが気になったが…)
など、デビューアルバム「RAINBOW RAINBOW」で聴くことのできた、
ファンタジックでキラキラとしたサウンドが見事に融合していたのだ。



この曲でミツカワのTM熱は 第一次絶頂期を迎えた。
(なので、The Beatles「She Loves You」ばりのドラムから始まる
 シングルバージョンの方が、思い入れは深いです)




その後、年が明けアルバム「Self Control」発売間近になると小室哲哉の口から
『このアルバムのコンセプトは「GORILLA」+「RAINBOW RAINBOW」』
という趣旨の発言が聞かれ、ひどく納得したものである。


そして、この曲が初披露されたライブである
「FANKS "FANTASY" DYNA-MIX」のタイトル自体が、
既にそのコンセプトを先取りしていたのだと気付かされた。
(それだけに同ライブのDVDでは ”FANTASY" 部分が
 バッサリとカットされているのがなんとももどかしい。
 このコンサートの野外ライブとしての見せ場は、
 中間部分で映画『未知との遭遇』のワンシーンが再現された、
 9分近くにも及ぶ「1974」だった)





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この話のアルバム「GORILLA」を「RHYTHM RED」に
「All-Right All-Night」を「Tomorrow Made New」に置き換えれば、
ミツカワの「Tomorrow Made New [EXPO ver.]」にかける想いが
分かっていただけるのではないだろうか。


つまりミツカワにとって「Tomorrow Made New [EXPO ver.]」は、
「RHYTHM RED」直系のハードロックサウンドに
"TM NETWORK 時代のキラキラ感” が融合した曲なのだ。


しかし、同じようなコンセプトの「Love Train」に、ピクリとも反応しなかったのは
「Love Train」の場合は "「RHYTHM RED」と「TM NETWORK」の融合” ではなく
”「TM NETWORK」路線への軌道修正” 
に聴こえたからだと思う。

これはSingleと、アルバム収録曲の1つでしかない曲との
『背負わされる物』の違いであろう。




ところで、EXPO ツアー初期だったと思うが、
メンバーの発言で、新曲「WILD HEAVEN」のことを
"TM NETWORK パビリオン” と表現したことがあった。

ミツカワとっては「Tomorrow Made New [EXPO ver.]」もまさにそうであり、
そう考えると短い期間だったとは言え、この2曲が続けて演奏されていたことは、
偶然ではあろうが感じるところがあった。





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皆様、長々とお付き合いいただき、
誠にありがとうございました。


ここまで分かれば後は実践のみ!
つまりピアノで [RHYTHM RED .ver] と [EXPO ver.] を弾き別けるには

・速めのテンポで
・全編に16分音符の裏ウチを入れながら、所々16分3連のバッキングを加えつつ
・Bass のアクセント位置をシンコペーションさせ
・Aメロ、及びサビにチェンバロ風音色のリフを入れながら
・間奏部分ではオルガンソロをキメる

ということとなります。(注)



って、無茶言わないでください!
全部、ミツカワの苦手なことばかりじゃないですかっ!!

えっ、じゃあお前、いったい何が得意なんだって?




               …。




では最後に、この不遇な23年間分のねっとりとした情念をたっぷり含んだ、
まさに「月とピアノとミツカワの悲鳴」を聴きながらお別れです。


んじゃ、また。







(注)ちなみに必死にあれこれ試したものの
   "後半に現れるストリングス” は泣く泣く断念!
   おお神よ!ミツカワはダメな…ダメな男です…。(以下、冒頭へLoop)




2014年4月21日月曜日

メモリアルエントリー / Thank You TM NETWORK!

ミツカワです。

この『重箱 Blog』はこちらにも書いた通り、
80年代のライブ活動を中心に据えたものなので
30周年にあたって、特になにか書くつもりはなかったのですが、



   気づいたら書いちゃってた (///∇//) ♪〜



ので up します。








その前に、New Single『LOUD』についても書いちゃえ!


イントロの時代がかった『大プログレシンフォニー』には驚かされたものの、
歌が始まってからは『ずいぶん "ベタな曲” だな』と思っていました。
が、2番を聴いてひっくり返った。




  えっ…この曲、Bメロから始まってたの!?




仮に1番の構成を [Aメロ→サビ] だとすると、
2番は [サビ→Aメロ→サビ] ということになりますが、
2番の冒頭『♪とめどなくあふれる~』はメロディーこそ [サビ] と同じですが、
Keyが違うこと。バックの音数の少なさや、コーラスが重ならないところを見ると
やはりこれは [Aメロ] として扱われていると思われます。(これ自体は割とあること)


しかし、となると2番は [Aメロ→Bメロ→サビ] という標準的な構成となり、
そこから逆にたどると、やはり1番が [Aメロ] の存在しない
 [Bメロ→サビ] という構成だったことに…。

2番に [Aメロ] が無いというのはよくありますが、1番に [Aメロ] が無いというのは、




       ド変態じゃん!




しかし、こんなド変態の構成を "ベタな曲” に思わせてしまうというのは、
なかなかちょっと真似できるものでは無いですよね。








ところで前作「I am」では
イントロ→ U2「Where The Streets Have No Name」
♪I am a human~ → Human League「Human」♪I'm only human~

と、ともに80年代の大ヒット曲を意匠として取り込んでいるように感じていたのですが


今作では ♪Loud,Loud,Loud,Shout it Loud~ が
Tears For Fears「shout」の ♪Shout, shout, let it all out~
を、これまた想起させる…。






























と思ったら、2012年/渋谷イベントでのデモ段階では
♪Shout, Shout, Shout, Shout it Loud~ となっていますね。

やっぱりそういう意図があるのだろうか…。







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さて今回のテーマは
  [Thank You TM NETWORK ~ 
    大切なことは「Tomorrow Made New」と
      「Beyond The Time」が教えてくれた]







皆さん!
皆さんは、普段お聴きの様々な楽曲がどのように制作されているか、
どんな作業工程があるのか、よく御存知でしょう。

ただ、

・作詞
・作曲

これは誰でも、どんな作業か具体的に想像がつきますよね。


しかし、その後

・編曲
・mix
・マスタリング

この辺になると、下に行くに従って次第にブラックボックス化され、
なんとなくは分かるものの、いまひとつ何をやっているのか、
それがどんなに重要なのかピンとこない、というのが実情ではないでしょうか。



ミツカワも本格的に楽器に触れたのが、20歳を過ぎてからと、
かなり遅かったため、ずっとそれがどんなに重要な作業なのか、
頭では分かっているつもりでも、胸の奥底では

『と言ったって、大切なのは
 結局やっぱり "詞とメロディー” でしょう』

と、思っていた時期があります。



今回は、そんなミツカワが
TMの楽曲によって気づかされた、いくつかのこと。
その体験談をもって、ささやかではありますが、
30周年をお祝いさせていただこうと思います。







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~ 編曲および音色の重要性 ~



まずはこのコメントに目を通して頂きたい。


  パノラマジックと比較して欲しいのですが、コード進行はほとんどいっしょです。
  アレンジと音の使い方の違いで、アウトドアと、
  さらに大気圏外との差みたいなものを感じてもらえますか?


これは1986年5月、スコアーハウスから発行されたバンドスコア「VISION MELODIES」
に掲載された「FANTASTIC VISION」に対する小室哲哉自身のコメントである。




「パノラマジック」と「FANTASTIC VISION」、
実際のコードネームは表記上かなり違うのだが、
ここでベースラインが…とか、構成音が…とか言い出すと、
あっという間にめんどくさい話になって、話の趣旨から逸れるので、
このコメントの要点部分のみを端的に表現してみた。
コード進行が同じという事は、つまりこういうことである。
(口に何か含んでいる場合は注意!フイても知りませんよ)





意図的にメロディーを変えたのは ♪た~かく、た~かく~赤字部分のみ
その他はビックリするほど、違和感無くハマりました。

このように、和音の流れが同じような曲というのは山ほどありますので、
見つけたら、皆さんもやってみましょう。楽しいですよ!
ちなみにミツカワは「10 YEARS AFTER」のカラオケを流しながら、
気が付くと「Maria Club」を歌っていることがあります。







話を戻す。
つまりこの2曲、作曲者は違うものの作曲の初期段階では
似たような雰囲気の曲だったということが分かる。


しかし、CDに収められた完成版は小室哲哉のコメント通り
・「FANTASTIC VISION」→ アウトドア
・「パノラマジック」      → 大気圏外
見えてくる景色が全然違う
これはすでにイントロの時点からなので、歌詞の違いだけによるものでは無い


とても興味深い事例ではあるのだが、
しかし1986年当時、ミツカワはまだ楽器をやっていなかったので、
コード進行云々のところが、いまひとつ意味がわからず、
ただ何となく "大切なことを言っている” という印象だけが残っていた。







そして時は流れ1991年9月、アルバム「EXPO」の発売日。


































手に取ったCDのクレジットに「Tomorrow Made New」の名を見つけたものの
すでにライブビデオに収録されていたせいで、
特にありがたみを感じず、期待もしていなかった。

むしろこの曲は、本アルバムのコンセプトである
『月とピアノ』に沿っていないのではとまで感じていた。








しかし、しかしである。
今でもその瞬間をはっきりと思い出せるのだが、
曲が始まってわずか2小節で、ミツカワの体中に電流が駆け巡った。





    [RHYTHM RED tour ver.] と
    見えてくる景色が全然違う!!





それは確かによく知っている「Tomorrow Made New」ではあるものの、
全く知らない「Tomorrow Made New」でもあった。
しかも先の例とは異なり、今回は同一の曲 である。
それが編曲ひとつでこれだけ印象が変わる(変えられる)というのは衝撃的であった。



そしてその瞬間、先に挙げた「パノラマジック」と「FANTASTIC VISION」に対する
小室哲哉のコメントが、時を超えてフラッシュバックしたのである。

この頃ちょうど鍵盤に触れ、曲作りにのめり込みはじめたミツカワは、
1986年のコメントの意味を、
ようやくはっきりと認識した。



また、[RHYTHM RED ver.] を LIVE ver. ではなく、デモ ver. と捉えると、
[RHYTHM RED ver.] → [EXPO ver.] の変化が、
神の手(制作者の意図)を垣間見る様で、大変興味深かった。




具体的に、どう手が加えられたのか?
それによって見える画がどう変わったのか? については、
次回に それはもうネットリとやる として、
ミツカワにとって「Tomorrow Made New [EXPO ver.]」というのは、
この貴重な "気づき" を与えてくれた恩人の様なものなのだ。

それゆえ、いまだにミツカワは
「Tomorrow Made New [EXPO ver.]」に足を向けて眠れない。
って、どっちの方角だよ!







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~ ちょっとブレイク ~



先の動画のような『同じコード進行に、違うメロディー』
その後、小室哲哉は意識的にこの手法で、
あえてコード進行を固定し曲を量産するようになる。

彼の代名詞ともいえるコード進行
『Ⅵm→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ』である。
「Get Wild」「Human System」「悲しいね(渡辺美里)」など、枚挙にいとまがない。
また、一部を変形させた「Love Train」の様な曲も多い。

これはコード進行を固定することにより、一聴しただけで誰が作ったか分かるようにする『ブランド化戦略』だ。



実際にはそんなに特殊なコード進行では無く、例えば BOØWY の「MARIONETTE」や
意外なところでは「君をのせて(天空の城ラピュタ)」など、
他の作曲家の曲でもよく見られるものだったのだが、
小室哲哉がしつこく、しつこく、使い続けることにより、
いつしか『小室進行』などと言われる様になったのは御存知のとおり。


しかしこれは "ワンパターン”  "クドくて拒否反応が出る” 
などの批判も産み出すことにもなった。
また本人はそのつもりがまったく無いのに、このコード進行を使ったために
『小室の真似』と言われてしまう、巻き込まれ型の被害者を産むことにもなった。



もちろん、これらの曲は先の動画と同じく "メロディーのとりかえっこ” が可能だ。
そう、「Get Wild」のカラオケに合わせ
「君をのせて」を歌うことも…だ。
(やってみると頭がクラクラしてきますよ)




ただ、実際にコードとメロディーの関係を鍵盤で追ってみると、
9thから始めたり、終点をsus4に変形させたり工夫している様がうかがえる。
意外と気にしていたのか?(笑)→ ワンパターン批判





さて次は、もう一つの "気づき" の話。







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~ mix 作業の重要性 ~



話はさらに数年前、1988年12月にさかのぼる。
ここでの主役はアルバム「CAROL」に収録された
「Beyond The Time (Expanded Version)」だ。
何が "Expanded" なのかは一切不明 だが…。



実はこの曲、アルバム「CAROL」の中で、
唯一、日本でレコーディングされた音で構成されている。
つまりシングル版と素材(楽器演奏やボーカルのテイク)は同じだ。
それだけにその後の作業、つまり
『mix 作業の効果』を知るには最適 である。



「Beyond The Time」は、シングルが同年3月に発売されてから、
このアルバムに収録されるまで
  "シングル版しか存在しない期間= 予習期間 
 が、かなり長かった ため、初めてアルバム版を聴いたとき、
素人のミツカワにも、シングル版との違いがはっきりと分かった。



曲の一番最初の部分。

シングル版では『ジャ~ン』と塊で聴こえた音が、アルバム版だと
ギターの弦、1本1本の隙間が見えるとでも言えばいいのだろうか、
『ジャラ~ン』と聴こえてきたのだ。







その瞬間、今までさんざん聴いてきたシングル版とは
全く違う景色が、ミツカワの前に広がった。


シングル版が、スクリーンに映った
"どよ~んと曇った宇宙" (変な表現だが)とするなら、
アルバム版は "どこまでも広がる広大で澄み切った宇宙に
自身が放り込まれたよう" な印象を受けたのだ。

さすがガンダム。
まさに『どっちを向いても宇宙。どっちを向いても未来』だ(←それ違う番組)
まぁ、映画の内容を考えると "どよ~んと曇った” 方が合っている気もするが…。







       なぜ同じ素材を使っていながら、
     ここまで印象が異なるのか?







あわてて聴き直してみると、
このイントロ部分だけでも、かなり違いがあることが分かった。


例えば、シングル版では右端でチキチキと鳴っていた
打ち込みのハイハットがバッサリカットされ
さらに和音を抑えていた鍵盤の音は、はるか彼方に押しやられている。

こうしてできた音の隙間から、シングル版では聞き取りとれなかった、
一つ一つの音の余韻が聴こえてくるようになったのだ。


特に、先にも書いた『ジャラ~ン』と和音を弾いたギターの音程が
その後ずり下がっていく部分の余韻は、
シングル版では味わえないみずみずしさを湛えている。


また、0:18 から入ってくる歪んだギターの音も、
シングル版では目の前で鳴っているのに対し、
アルバム版ではまるで遠雷のような響きをたずさえている。


さらに、Bメロからスタートするスネアの音も、シングル版では息がつまるというか、
まるで目の前に立ちふさがるような鳴り方をしていたのが、
アルバムでは、自然な余韻が付加けられ、ほどほどに後ろに下がった結果、
ボリュームを上げても耳が痛くならない。



実はミツカワ、シングル版の時点ではたいして興味のなかった曲(※)だったのだが、
このアルバム版はぐいぐい引き込まれてしまった。

  (※)これは曲の良し悪しではなく、
     シングル発売当時、大量にオンエアされていた映画のCMの印象が強過ぎて、
     『TMの曲』というより『ガンダムの曲』というイメージだったため。









「Beyond The Time (Expanded Version)」の特徴というより
これはアルバム「CAROL」全体にも通じる話だが、

 ・前後・左右・上下・奥行きの幅が広い。
 ・それぞれの音に付加された余韻が自然。
 ・高域のみずみずしさ。
 ・低域のふくよかさ。

などなど、これはもはやアルバム用の mix というより、
アルバム「CAROL」を担当した、
スティーブ・ナイによる添削指導
という様相を呈している。

事実、小室哲哉自身まずこの曲をテスト的にミックスしてもらった結果、
アルバム「CAROL」のミキシング・エンジニアは、
スティーブ・ナイで間違い無いと確信したそうだ。








TM NETWORK には申し訳ないが、ミツカワにとって
アルバム「CAROL」の主役は、
このスティーブ・ナイと、
録音を担当したスティーブ・ジャクソン である。


1曲目「A Day In The Girl's Life」冒頭のシンバルロールから始まり、
どの曲を聴いていても、つい曲ではなく
1つ1つの "音そのもの” の美しさに耳が奪われてしまう。






同じく mix という意味では「Seven Days War」における
スネアドラムの音色の違いにもかなり驚かされた。

シングル版がシングルらしく派手な『パーン』という音に対し、
アルバム版では『スタン』と落ち着いた音になっている。

これはアルバムを通して聴いたとき、他の曲との違和感が無いように、
また、アルバムを通して聴き続けた時、耳が疲れないようにという配慮だろう。
これも決して音を録り直したのではなく、Mix の違いによるものだ。







逆に言えば、
mix ひとつでここまで印象が変わってしまう、
というのは恐ろしいこと とも言える。






我々が "レコーディング" と聞くと、アーティストの作曲シーンや、
演奏や打ち込みをしている姿を思い浮かべがちであるが、
実はその後で、ガラッとイメージが変えられてしまう可能性があるのだ。

アーティストが mix エンジニアの選定にナーバスになったり、
わざわざ mix をするためだけに、海外に行く意味がよく分かるだろう。





ミツカワにとって、
この「Beyond The Time (Expanded Version)」以前と以降では、
mix に対する認識が180度変わった。
ありがとう
「Beyond The Time (Expanded Version)」!
僕は君のことを(普段、全然聴かないけど)決して忘れない。





ただ最初の出会いが、この『最高峰の音』だったため
これ以降、今に至るまで mix 作業に対する強烈な苦手意識も植え付けられてしまったが…。

おのれ「CAROL」!!(←浮き沈みの激しい人)







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~ マスタリング作業の影響力 ~



最後に、マスタリングについても簡単に触れておこう。

マスタリングに関しては、曲毎の音量、音質を整えるといった静的なものから、
積極的に音にアプローチするといった様々なスタンスがあり、
なかなかその効果を文章で表現するのは難しい。


一般的な認識だと
・音量・音圧が上がる。
・細かい音が聴き取りやすくなる。
といったところだろうか。


ここでは、それだけではない
マスタリングの大切さ(恐ろしさ)を感じ取れる例をひとつ挙げておく。







・Welcome to the FANKS!
・TM NETWORK THE SINGLES 2 (初回生産限定盤)


両ベスト盤に収録されている「We Love The Earth」を聴いてほしい。
ざっくり言ってしまうと「~ SINGLES 2」版より「Welcome ~」版の方が
曲全体の重心が低く、落ち着いた感じになっている。



特に顕著なのが Bass だ。

・「~ SINGLES 2」版ではかなり “fat” な鳴りをしていて、
  Vocal のすぐ下にピッタリとくっつく様に位置している。
・「Welcome ~」版では落ち着いた音に調整されており、
  Bass 本来の、かなり下の位置に収まっていて、
  結果的にVocal とBass の間に空間が生まれている。

ミツカワの好みとしては断然「Welcome ~」版なのだが、
オリジナルに近いのは「~ SINGLES 2」版だ。
これは先に書いた
マスタリング作業に対するスタンスの違い だろう。



その他、イントロ頭から鳴っている、リズムマシン(TR-808)のKick の音に注目すると

・「~ SINGLES 2」版ではオリジナルに近い “トン・トン “
・「Welcome ~」版では “ドゥン・ドゥン“ + 高域で “ジー・ジー“ 。

と、その鳴り方が違うのが判るだろうか。
(判りづらい場合、スピーカーやイヤホンなど環境を変えてみてください)



このように、mix 作業を終えた以降でも、
まだ全体のイメージを左右してしまう工程があるということだ。
マスタリングにまでアーティストが神経を使う理由が、
少しは分かっていただけただろうか?










さて、この「We Love The Earth」に限らず、
総じてミツカワは「Welcome to the FANKS!」の音に好感を持っている。…のだが、






 「ただしジャケットデザイン…テメーはダメだ!」 






























         「Welcome to the FANKS!」2004年12月リリース

































      The Chemical Brothers「Singles 93-03」2003年9月リリース







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というわけで、いかがだったでしょう?
ほんのちょっぴり、メモリアルにふさわしい内容だったでしょう?

実は、この他にも書ききれなかったことがいくつかあるのですが、
(なんせ30年ですもんね)それはまた、いずれ。

兎にも角にも、
TM NETWORK 30周年、おめでとうございます。





さて次回は、いつもの路線に戻るよ!
いよいよ「Tomorrow Made New」 [RHYTHM RED ver.] VS [EXPO ver.]
ガチンコ対決だよ!!


んじゃ、また。







2014年3月31日月曜日

春だもの!「EXPO」へ行こうよ。

ミツカワです。

すみません。
前回予告した『小ネタ☆CAMP FANKS!! '89☆スペシャル』は、
先送りすることにしました。

理由は小ネタを書き出しているうちに、
1回では収まらない量 になってしまったから…。
さすがに、またこれから複数回に渡って『CAROL関連』にDIVEするのはデンジェラスすぎる
(還って来れない気がする)ので、一旦仕切り直しさせていただきます。
もちろんいずれエントリーしますので、お楽しみに!



で、今回は何をするかというと…





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どうにも 影が薄い奴 というのがいる。

前回取り上げた「INNOCENT BOY」などは、
あまりにも取り上げられないことによって、逆にネタとしての存在感を示すようになった。
つい、最近までは「一途な恋」もそうだった。


しかし、本当に影が薄い奴というのは、普段取り上げられないだけでなく、
『普段取り上げられない曲って何?』
という時でさえ話題にならない。
そういう奴がいるのである。





つまり「Tomorrow Made New」のことだ。
果たして Fanks の中に "この曲が好きで仕方がない” という人が、一体何人いるだろう?



『えっ?そんなの割といるでしょう?自分も好きだよ』と思うかもしれない。










違う、違う、そうじゃない(by 鈴木雅之)











あなたが今、思い浮かべた「Tomorrow Made New」は
「RHYTHM RED Tour」で新曲として披露された曲のことではないだろうか?


自慢じゃないが、このミツカワ。
「RHYTHM RED Tour」での「Tomorrow Made New」(以下 [RHYTHM RED ver.] )には、
まったく興味が無い。(←ホントに自慢じゃない)

今ここでミツカワが語りたいのは「Tomorrow Made New [RHYTHM RED ver.]」ではなく、
アルバム「EXPO」に収録された「Tomorrow Made New」(以下 [EXPO ver.] )の話だ。



実はミツカワ、TMN名義で一番好きな曲が
この「Tomorrow Made New [EXPO ver.]」なのだ。
しかし今だかつて、この[EXPO ver.]の方が好きという人に会ったことがない。





…試してみようか?





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さぁ、あなたはどのタイプかしら?
次のチャートに Let's try!
きっと、あなたにぴったりの素敵な彼(Tomorrow Made New)が見つかるはず ♥︎


バージョンにかかわらず「Tomorrow Made New」が好きだ。
            ↓
[RHYTHM RED ver.] よりも [EXPO ver.] の方が好きだ。
            ↓
TMN名義の全ての曲の中で(もちろん「We Love The Earth」よりも)
 [EXPO ver.] の「Tomorrow Made New」が1番好きだ!


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・・・・・





…ほ~ら、誰もいなくなったポコ…。・・・なったポコ…。

傷心を癒す旅に出るミツカワ。
さようならミツカワ。
ミツカワ先生の次回作にご期待ください!!






…というわけで、今回はいつものようなエントリーでは無い。
『春だもの!「EXPO」へ行こうよ。』などと楽しげなタイトルは完全に詐欺。
これは [RHYTHM RED ver.] 派のあなたと
[EXPO ver.] 派のミツカワとのガチンコ勝負なのだ!
そのため画像も動画もほとんど無い、ただひたすら情念の固まりのような文字の物量攻撃。

はっきりいって「Tomorrow Made New」に興味が無い方へは
全くおすすめ出来ないエントリー
となっていることを御断りしておく。



『絶対、あなたをふりむかせてやるんだからっ』
( ↑ すでに涙目)








…って、すでにこの時点でまだ誰か読んでます?…。







本題に入る前に1つだけ。
20年ほど前『TMの歌詞で相手のことを “お前” って呼ぶのは
「パノラマジック」だけなんだよね』とドヤ顔で語った某君へ。

「Tomorrow Made New [EXPO ver.]」もそうですからねっ!































                    ↑
映像商品化されたこともあり、根強い人気を誇る
「Tomorrow Made New @ RHYTHM RED Tour



映像どころか、写真すらロクに残っていない「Tomorrow Made New @ EXPO Tour








































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今回のテーマは、ガチンコ対決の前哨戦として
[TMの全楽曲中における
「Tomorrow Made New」の特異性]



今回は3つのポイントを確認していこう。


・T/M/N
・オルガンソロ([EXPO ver.]) 
・バウンスビート






・T/M/N

これについては発表時、かなり話題になったはずだ。
一見、意味不明の「Tomorrow Made New」というタイトルや
歌詞中に出てくる、これまた意味不明な「Thrill Mad Nature」という言葉の
頭文字をつなげると『TMN』となる。


というより、TMNとして初めてのツアーで披露される新曲として、
まず『TMN』ありきの歌詞発注だったのだろう。



結局、この件は一発ネタというか出オチというか、それ以上の発展は見せなかった。

しかし実はこの件、
[EXPO ver.] の成立過程に影響を及ぼしているのでは?とミツカワは考える。
これについては [RHYTHM RED ver.] と [EXPO ver.] の違いを分析する次エントリーに譲る。











・オルガンソロ [EXPO ver.] 

かなり意外だが 旧TM NETWORK 含め、TMN終了以前の楽曲で、
オルガンソロが正式にレコーディングされているのはこの曲だけである。


実はアルバム「Self Control」制作時にレコーディングされていたバージョンの
「Resistance」では、後半延々とオルガンソロがプレイされていた。
(ただし本物のオルガンではなく、おそらくDX系のFM音源だと思われる)
が、結果はご存知の通り『没』になる。


また、小室哲哉のソロだが アルバム「Digitalian is eating breakfast」に収録の
「HURRAY FOR WORKING LOVERS」では、エンディングでオルガンソロが始まる。
しかし、あっという間に曲自体がフェードアウト
してしまうため、ほとんど印象には残らない。




結果としてオルガンソロらしいオルガンソロが聴けるのは、この曲だけなのだ。





話がそれるが、アルバム「Self Control」発売直前の小室哲哉インタビューで、
「今度のアルバムは僕のキーボードソロもテーマの1つ」と語っていた。

しかし、フタを開ければソロらしいソロが聴けるのは
「Don't Let Me Cry」と「All-Right All-Night」の2曲だけ。
しかも「All-Right All-Night」は、既に3ヶ月も前にシングルとして発表済みであった為、
完全新曲としては「Don't Let Me Cry」だけであった。

当時、あの話は一体何だったんだと思ったが、
今考えると、その時点では「Resistance」が数に入っていたのだと分かる。
となると「Resistance」がアルバム「Self Control」から外されたのは、
かなり終盤だったということになる。










・バウンスビート

さて、一番興味深いのがこれだ。
TMN終了以前のスタジオレコーディングされた楽曲で、
基本のリズムが “バウンスビート” なのも、これまたこの曲だけなのである。




                 〜〜〜〜〜



詳しい話に入る前に “バウンスビート” について説明しておこう。

というのも厳格に規定されたクラシック用語に比べ、
RockやPopsで使われる用語の定義は、
使う人・時代・国、などによって、はなはだ曖昧だからである。

よって、ここでの説明も今回の解説の為、
当『重箱Blog』で規定する定義であることを御断りしておく。
(もちろん、なるべく一般的な定義をこころがけております)


以下の説明、少しでも分かりやすくなるよう一部加筆しました。
(2014.04.01)



“バウンスビート” とは “バウンスフィール” とも言われ、一言で言うと、
その名の通り “弾んだ(跳ねた)リズム” のことである。

通常なら、この説明だけで十分だと思うが、
この後 “シャッフル” という、同じように “跳ねたリズム”を指す用語が出てくるため、
その違いを明確にしておきたい。



“バウンスビート” が “弾んだ(跳ねた)リズム” である以上、
“シャッフル” もまた “バウンスビート” であることには違いない。
実際 “シャッフル” のことを指して “バウンスビート” と呼ぶ人もいる。(だから混乱する)



ただ、一般的に “シャッフル”といえば、跳ねた8ビートのことを言い、
“バウンスビート” と言った場合は、跳ねた16ビートを指す。
それゆえに “バウンスビート” のことを “ハーフタイム・シャッフル” という人もいる。
これは8分音符に比べて16分音符はその半分の長さ = つまりハーフタイムだからだ。






















『シャッフル』
均等に並んだ8分音符の後ろ(裏拍)が後ろにズレる。






『バウンスビート』
均等に並んだ16分音符のそれぞれ後ろ(裏の裏)が後ろにズレる。
この時 “シャッフル” の場合はズレていた裏拍(黄色の線)はズレないことに注意。





なお、跳ねたリズムはその性格上、ある程度遅いテンポではないと効果を発揮しない。
試しに口で「タッタ・タッタ・タッタ・タッタ」と言いながら、
だんだんスピードをあげてみてほしい。
ある程度スピードを上げると「タ・タ・タ・タ・タ・タ・タ・タ・」と
区別がつかなくなることが分かるだろう。



                 〜〜〜〜〜





さて、跳ねたリズムという事で言えば「Tomorrow Made New」以前の楽曲にも存在する。
アルバム「RHYTHM RED」に収録された
「WORLD'S END」と「BURNIN’ STREET」がそれだ。

このあと詳しく見ていくが、
ただ「WORLD'S END」「BURNIN’ STREET」共に、跳ねたリズムは
一部分に彩りを加えるための “アクセント” として使われているだけであり、
曲の基本リズムでは無いことは強調しておく。



また、スタジオレコーディングでなければ “バウンスビート” を基本とする曲が存在する。
「RHYTHM RED Tour」で演奏されたバージョンの「COME ON EVERYBODY」だ。
(DVD「RHYTHM RED LIVE WORLD'S END」参照)



そして、ここに登場する「Tomorrow Made New」を含めた4曲全てが
同じ時期(RHYTHM RED 期)に作られていることに注目してほしい。
その中でも特に「WORLD'S END」の CD ver. から Live ver. への変化
「Tomorrow Made New」の特異性を考えるときに重要であると考える。




どういうことか、それぞれ見ていこう。





「BURNIN’ STREET」(CD ver.)
中間部(2:08 ~ 3:13)で、一旦曲調が変わるところが “シャッフル” というリズムだ。
そこまでの直線的なリズムと違い、
まるでスキップしているような感じになるのが分かるだろうか。

しかしあくまで8ビートのため、完全な横ノリである “バウンスビート” と比べると、
まだ縦ノリの雰囲気を残している。
ちょうど縦ノリと横ノリの中間といったところだろうか。




「COME ON EVERYBODY [RHYTHM RED Tour ver.] 」
「RHYTHM RED Tour」で披露された、大胆なアレンジの「COME ON EVERYBODY」
オリジナルに比べかなりテンポが遅くなっているのは、
先ほど述べたように バウンスビートを生かすため だ。

こちらは16分音符が主体となっており、完全に横ノリである。
「BURNIN’ STREET」中間部とのノリの違いを確認してほしい。




「WORLD'S END」(CD ver.)
この曲のイントロ部(0:25 ~ 1:14)では面白いことが行われている。
この部分をボーと聞いていると、あまり跳ねた感じがしない。
それはバウンスビートの特徴である16分音符をドラム、ベース、共に弾かないためだ。

上に載せた“バウンスビート”の譜面で説明すると、
緑と黄色の線の部分だけで音を出し、青線の部分では音を出していない
つまり、判別しようがないのだ。


しかし、4小節毎に差し込まれるスネアのフィルを聴くと、
山木秀夫(アルバム「RHYTHM RED」でのDrummer)が
バウンスビートを感じて演奏しているのが分かる。(譜面参照)
リスナーもその瞬間、実はバウンスビートだと気付く仕掛けだ。

















赤丸の部分が「タ・タ・タ・タ・」ではなく「タッタ・タッタ」と聴こえるだろう。





しかし「RHYTHM RED Tour」で同じ部分を阿部薫が叩くとこうなる。(譜面参照)
「WORLD'S END」(RHYTHM RED Tour ver.)

















ここでは初めからスネアで16分音符のフレーズが挿入され、
あからさまにバウンスビートを感じさせる演奏となっている。
CDバージョンでの『仕掛け』を考えると、台無しとも言えるが、
ライブということを考えると、こちらの方が素直に気持ちよくノレる。






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さて、ここで
「Tomorrow Made New」の成立過程 を確認しよう。


「RHYTHM RED Tour」の合宿リハーサルは
1990年10月6日~20日までの2週間行われた。
他の曲と違い「Tomorrow Made New」は完全新曲のため、
この合宿で産声を上げることとなる。


「Tomorrow Made New」最初のセッションは、9日の夕方に行われた。
このとき小室哲哉が提示したのはコード進行と展開(構成)だけだったようだ。
これを元に、その場でヘッドアレンジ(※)が行われた。

(※)楽譜によらず口頭での指示や、
   各ミュージシャンそれぞれのアイデア出しによって編曲していく方法





また「Tomorrow Made New」に限らず、この時は
いつもなら前もって行われていた
小室哲哉によるライブアレンジ作業が無く、
サポートミュージシャン達との共同作業で一曲一曲アレンジされていった。


これは、いままでのツアーと違い「RHYTHM RED Tour」では、
機械の同期がほとんど使われなかったため、
いつもなら前もって行われていた膨大な量の打ち込み作業が無く、
あらかじめアレンジを確定させておく必要も無かったからだ。
(そのため小室哲哉も他のメンバーと同時に合宿入りした)




この経緯と、先の「COME ON EVERYBODY」「WORLD'S END」
それぞれのライブバージョンの例を合わせると、
「Tomorrow Made New」の持つ “バウンスビート” という個性は、
小室哲哉よりも、Drummer 阿部薫の
生理的、肉体的な部分から
自然発生的に生まれてきたのではないだろうか。






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もう一つ面白いのは、この翌年にリリースされた小室哲哉のソロアルバム
「Hit Factory」に収録された「Magic」「South Beach Walk」の2曲が
 “バウンス” している ということだ。

小室哲哉自身が “今後にも使えそうな新しいパターン” と発言していたように、
TMの活動が続けば、新たなカードになる可能性もあった。




しかし時期は近いが、この「Hit Factory」における “バウンスビート” は
機材的な都合であり「Tomorrow Made New」とは発想の原点が根本から違う。

この件に関しては、またそれだけでエントリー1本分になるのでここでは省略するが、
ミツカワは両者の “バウンスビート” の源泉を、それぞれ

・「Tomorrow Made New」→ Drummer 阿部薫のフィジカルな部分
・「Hit Factory」の2曲   → このアルバムで使われた AKAI MPC の機材的な特徴

ではないかと考える。





なお、1999年の再結成時は小室哲哉がR&Bに傾倒していたせいで
「IT'S GONNA BE ALRIGHT」「10 YEARS AFTER」と、2曲跳ねたリズムが続くが、
それ以降はまた、とんとさっぱり姿を見せなくなる。
せいぜい木根尚登の書いた「N43」くらいだ。(2014年3月末現在)



こう見ると少し意外な感じがするが、
少なくとも『TM NETWORKにおける小室哲哉』の中には
あまり『跳ねる』ことへの欲求は無いように見える。
ホント意外であるが…。




ちなみに「I am 2013」のイントロ(0:41 ~ 1:00)では、
元の「I am」のリズムの上に、新たに付け足されたアルペジエーターのリズムが重なり、
原曲の縦ノリが横ノリへと変化していて面白い。
が、これは狙って横ノリにしようとしたのではなく、
偶然の産物 だと思われる。







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以上、 [RHYTHM RED ver.]  [EXPO ver.] に関わらず、
「Tomorrow Made New」が特異な立場の曲だと分かっていただけただろうか?
本人達が一番自覚してなさそうな気がするが…。


さて次回は、いよいよミツカワ的大本命!
[EXPO ver.] は [RHYTHM RED ver.] と比べ、何が違うのか?
(と言うか、どこが好きなポイントなのか?)に迫っていきます。




ところで、ミツカワはなぜ唐突に「Tomorrow Made New」の話を始めたのか。
勘のいい方はもうお気付きだと思います。

そう! 次回のエントリータイトルはズバリ
『日本EXPO化計画 
 ~ 俺に [EXPO ver.] を弾かせろ
お楽しみに!!




…て、ここまでたどり着いた人何人いるんだろ…。
んじゃ、また。