2020年6月21日日曜日

「グリニッジの光を離れて」クレジットミスの指摘に至る経緯について


どうも。

昨年、出演したnet番組をご覧になった方から
重箱blogに書かれていた通り本当にずーっと喋り続ける方なんですね!」
というメッセージをいただいたミツカワです。

わざわざ貴重な時間を削って御視聴いただき、誠にありがとうございました。



      ただ…


         感想、そこかよ?!





CDの宣伝をするはずが、何故か『老眼』について熱く語り続けたミツカワ。
いい加減、フリートークの “フリー” が
  ほんとにフリーじゃいけない ことに気付くべきであろう。





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さて今回は通常の内容とは異なり、
2020年3月にリリースされた “TM NETWORK デビュー時に制作された未発表曲”
「グリニッジの光を離れて」で起こった
 作曲者クレジットのミス。

この間違いを ミツカワが発売元に指摘するに至った 経緯を纏めておきます。
























と言いますのも、この件の公式発表 (【お詫び】3/18発売 TM NETWORK「Gift from Fanks T」の作曲者表記訂正とブックレット交換のお知らせ)が出て以降、
ミツカワのもとには大量のメッセージをいただいておりまして、
皆様一様に「よくやった」と褒めていただくのですが、
実際のところ 自分は大した事をしておらず、
他の方々の尽力によるところが大きい ので、
面映ゆい というか、ばつが悪い というか…。


そこで 協力いただいた方への感謝 と自分の近況報告も含め、
このエントリーを執筆しようと思った次第です。
  (現在までにいただいたメッセージには必ずお返事いたします。
   ただ、とても手の追いつかない状態ですので、いましばらくお待ちください)





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今回の主役である未発表曲「グリニッジの光を離れて」が Bonus Track として収録された
ベストアルバム「Gift from Fanks T」



ただ、ミツカワはこのCDをリリース日の時点では購入しておらず、
この重箱blogでも度々お世話になっているコレクターの GAUZE氏 が聴かせてくれました。
(ちなみにこの時点で彼は当たり前のように 同CDを複数枚購入 していましたが、
 もはや突っ込む気になれませんでした)


この時の様子を正確に記すと、先に「作曲/小室哲哉」と記されたライナー を見せてもらい、
そのうえで聴かせてもらいました。
つまりクレジット情報を知ってから曲を聴いたわけです。

まず最初の感想としては「いい曲だなぁ」とか「好みじゃないなぁ」とかではなく、
ただただ「困惑した」というのが正直なところでした。

どこをどう聴いても、自分が長年聴いてきた
「小室哲哉の作るメロディー」の片鱗も感じない からです。




→ 「小室っぽい」ってなんだろう? その1
→ 「小室っぽい」ってなんだろう? その2




もちろん TM NETWORK デビューにあたり、
小室氏がそれまでと違う作風を模索していたという話は知っていましたが、
今、プレイヤーから再生されているそれは
“作風の違い”というニュアンスでは収まらない ように思えました。



この重箱blogで何度も書いたとおり、自分はあくまで
“スタッフを含めたプロジェクトとしての TM NETWORK” のファン でしかないので、
90年代以降のいわゆるTK時代を全く知りません。

そのため、この重箱blogを読んでくださる方々に比べると
「小室メロディー」を聴いた数はかなり少ないはずですが、
それでも「これは違う」と即座に結論付けた のは、同時にもう一つ別の印象を受けた為です。




→ 歌いだしから最後まで濃厚な木根メロディーだなぁ。




普段ミツカワはライナーをほとんど見ないので、もしその時点で自分が購入したCDだったら
「グリニッジの光を離れて」= 作曲/木根尚登 と認識したままだったと思います。
この時はたまたまGAUZE氏にライナーを手渡されたため、目を通し違和感が生じたわけです。




ここで重要なのは、
・小室哲哉作曲ではない → だから木根尚登作曲である
という 消去法ではなく、

・小室哲哉メロディーではない
・木根尚登メロディーである

という 独立した2つの印象 が同時に生まれたという点。





というわけで一聴した時点で 自分の中の結論は出てしまった わけですが、
だがしかし、そこにはオフィシャルとして「作曲/小室哲哉」と書かれたライナーという
大きな硬い壁が立ちはだかっている わけです。
これをどう解釈すべきか、というのが先に書いた「困惑」の中身でした。



ただ困惑しつつも、せっかくGAUZE氏が聴かせてくれているわけですから
その場で何かしらの感想を言わなくてはいけない…。
とっさに頭に浮かんだ可能性は2つ でした。



1つはそのものズバリ、作曲者クレジットが間違っている ということ。
でも瑣末な内容ならともかく、オフィシャル商品でそんなことありえるんでしょうか?



もう1つ考えられる可能性は…
自分はGAUZE氏にこう伝えました。


 「この、今聴いている曲が本当に「グリニッジの光を離れて」という曲なのか
     俺達には判断つかないよね?
  多分これをそのまま「悲しき16歳(注)」として聴されても信じちゃう気がする。」

   (注)「グリニッジ〜」と同じくデビューにあたり準備されていた曲。
       ただし正式なレコーディングには至っていない模様。


つまり「グリニッジ〜」が小室哲哉作曲であるのは間違いないが、
そもそもこの曲が「グリニッジ〜」ではない という可能性です。

歌詞が直接的に

 ♫〜 O.K. Gyuhhh!
    gグぅリニッジのぅ光ぅおーーふぁーぬあーれーてーーーーーーーっ!!
     TM ネットワーク Dameーーーー!!!

とかでない以上、ギリギリ成り立つ理屈 ではあります。
(ほんとにこんな歌詞だったら永遠に未発表であってほしいと思いますが)



たださすがにそこまで なんて素敵にジャパネスク (Don't think, feel.) なことが、
そうそう起こるとも思えませんので、これも笑い話として流れていきました。




ただし、ここでの与太話が後に繋がる こととなります。





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この件に関してミツカワのパートは、これでほぼ終了です。

どんなに確固たる自信があっても、この時点では 単なる印象論 です。
社会的には「個人の感想です」以上のものではありません。
さすがにこれだけで発売元に直接問い合わせるという発想は 全くありませんでした。



しかしだからといって、いつものように
裏付けを取るべく力を尽くすこともありませんでした。



というのも、ちょうどこの時期、
新型肺炎流行の影響により、自身の音楽活動が焼け野原になり始めたためです。
フリーランスにとってトラブルなど日常茶飯事 ではありますが、
今回は生まれつきの自分の障害や近年の体質などにピンポイントで直撃しており、
他の方と同じレベルの捉え方をするわけにはいきません。
医師にも強く釘を刺され、自分の人生そのものが崩れていくような感覚にとらわれていました。



ですので、正直に言って (たとえTMであろうが)
他の事を気にするような余裕はありません でした。



本当に、自分としては その日その場所で終わった話 でした。





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そして4月。


家に篭って、日々悪化していく状況に対応するため
リスケジュールを繰り返すだけの簡単なお仕事に没頭し、
「グリニッジの光を離れて」どころか TM NETWORK すら一切聴きませんでした。
(「Tomorrow Made New」は “TM NETWORK” ではないので セーフ という法の抜け穴 )



ここ数年、免疫の低下から入退院を繰り返している自分にとって、
気分が落ち込むことも危ない ので、
毎日 タイムボカンの曲を歌って 英気を養っていました。(完全実話)



   フニャーとめげてる場合じゃないよね!




 “シビビーン” とは、もともと関根勤のネタ。
  曲の制作にあたり、ちゃんと許可を…

            …って、そんな情報いらんか。





     ソニーへの道は遥かに遠い…。
                  (BGM / PALE SHELTER)






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しかし 2ヶ月近く経った 5月中旬、突然この話は再起動します。


こちらも当重箱blogでたびたびお世話になっている「TMN通史」
青い惑星の愚か者氏 (以下、惑星氏) から連絡が入ったのです。

その時点では、彼とこの件を話した事はありませんでしたので少し驚きました。
どうやら自分の知らないところで、GAUZE氏から
「ミツカワがこんなこと言ってた」と伝わっていたそうなのです。

そこで気になった惑星氏がなんと
ヒントとなる資料を探し出してくれた とのこと!



凄ぇーーーーーっ!!
I love metal  ーーーーーっ!!(←まだ引きずっている)





送られてきた資料は2000年頃放送されていた TM NETWORK のラジオ番組
『サークルK Presents BEAT CLUB "それ行け!TM Network"』の書き起こしTextでした。

それによると2000年9月14日に放送された回ではトークテーマの1つとして
「TMの未発表曲」が採りあげられたそうです。
全体的にラジオ特有のゆるい雑談まじりの会話ですので、核心部分のみ書き記します。




(K=木根氏 U=宇都宮氏)

K:「特に俺の曲、2曲ぐらいボツにされたヤツあんだよ。1枚目で。」
U:「(笑) うん。なんか、あったね。」
K:「あのね。」
U:「うん。『フィービ』って曲(爆笑)」
ー中略ー
U:「あれ似合わないよ、やっぱ。今、聴いてもね、違うと思うな。」
K:「まだ、1枚目だし。試行錯誤でな。イロイロあったからな。」


確かに番組中では「グリニッジ〜」というタイトルは語られていませんが、
非常に注目すべき発言 なのは間違いありません。





ここでようやく (完全に他力ですが) 
ミツカワの重箱スイッチが入りました!





これを足がかりに他の記録を漁ると、この部分は単なるトークではなく
2人が メロディーをつけハモった そうです。

ですが、ミツカワも惑星氏もこのラジオを実際に聞いたわけではなく、
手元にあるのはあくまで書き起こしでしかないため、
それが どんなメロディーだったのかは分かりません。

ただ2000年の放送なので (TM NETWORKの歴史としては) わりと最近です。
エアチェックした人は多いでしょう。

通常なら、次はこの放送の音源を所持している人を探し、
該当部分のメロディーを確認させてもらうという手順を踏むべきですが、
今回は この書き起こしの文面だけで決定的な証拠となり得る とミツカワは判断しました。
(そもそも 本当にその日の放送でこんな会話があったのか?
 という点は、別方面からしっかり確認しましたが)



その理由として



1) “フィービ” という特徴的な人名が入る未発表曲が他にも存在しているとは考えにくい。
  (1st Albumには別曲にも “フィービー” という人名が出てきますが、
   総体として特徴的なことには変わりはありません)


2) 作者の木根氏ではなく宇都宮氏から率先してそのキーワードをあげている。


3) この時点で20年後にその曲がリリースされるとは本人達も知らないわけで、
  それだけにポジショントークに陥らず、事実をそのまま話している可能性が高い。



などが挙げられます。



この内、特に 2) は重要 だと考えます。

木根氏の発した “俺の曲” という前フリだけで
宇都宮氏が「フィービ」というキーワードで答えたということは、つまり
「フィービ」なるキーワードを含む未発表曲 = 木根尚登作曲
 であるとのコンセンサスが2人の間にある という事です。
(このCDが制作される際に本人確認が行われなかった、ということでもあります)




なおクレジット問題とは直接関係はありませんが、惑星氏によると
 -tribute LIVE- SPIN OFF from TM 2007 のリハーサル中に、
宇都宮氏が突然ふざけて「懐かしい曲を1曲… グリニッジ!」と言い出し、
唯一そのセリフに反応した木根氏が演奏を始めようとするも手が追いつかず悔しがる…
という場面があったそうです。


先のラジオ発言のニュアンスと合わせて見ると、
2人の間でこの曲は一種の ネタ扱い になっていたようですね。





閑話休題。


さあ、それまで自分の印象論でしかなかったものが
途端に形を持ち始めました。
次のステップとして、多少勇み足ですが
発売元の ソニー・ミュージックに連絡をつける こととしました。


 ↓ その時、やりとりしたミツカワのDM。5月10日ですね。

















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ここでちょっと話がずれますが、このエントリーを書いたもう一つの動機として
皆様へのお願い があります。


SNSの時代となり特定の対象とファンの距離が近くなったと言われます。
ミツカワ自身は 客観的な視点を保つため、
そういう対象やコミュニティーとは距離を取るように努めていますが
(以前、小泉洋氏のインタビュー を行った際、
この件に関してだけは一線を越えると書いた のはそういう意味です)
直接触れ合えることに価値を見いだすファンの気持ちも分からなくはありません。



ただアーティストとファンが直接つながることによってそこでサイクルが完結しがちになり、
レコード会社にファンの声が届きにくくなっているのではないか という懸念を持っています。



欲望丸出し になるので多少自重しつつ話しますが、
未発表の音源やライブ映像等を管理し、リリースする企画を承認 → 実行に移すのは、
あくまでレコード会社です。

そして私達が思っている以上に、レコード会社はファンの生声を気にしています。
(昔はレコードなどに感想を送る葉書が入っていましたよね)
ぜひアーティストだけではなくレコード会社にも感想や要望などを伝えてほしいと思います。





別の言い方をすると、現状に満足せず
もっと貪欲になってほしい とも思います。
とにかく TM NETWORKの商品展開 (特にライブ関連) は偏りがありすぎ
その実態が隠れたままになっていますので。





ここまで書いて思い出したので、余談ついでに一例をあげておきます。
EXPO tour の舞台中央にある透明な扉 ありますよね?




























あれ、コンサートの最終盤 (自分が観た日だと「We Love The Earth」) で
全部が独立してぐるぐる回りだし 照明を反射させて巨大なミラーボールみたいになるんですよ。
このツアーでのかなり印象的な場面なんですが
EXPO tour 自体が全く商品化されていない ので、
今となっては見る術がないんですよね。





このような事例が多すぎて
自分の思い出の中にあるTM NETWORKと現在触れられるTM NETWORKの落差が辛いんです。


もう一度書きます。
        ほんと辛いんです。


というわけで、SNSで完結せずレコード会社にも積極的に意見や感想を届けようね!
という提案でした。
長々と書き連ねましたが、つまりこういうことです。




      エピックソニー・イェー!!




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というわけで、この件もSNSを使った方が簡単に解決したかもしれませんが、
(あるいはレコーディングに参加していた小泉洋氏に尋ねるという手もありましたが)
やはり ここは筋論として 商品開発をしたソニー・ミュージックの門を叩くことにしました。



が、世は新型肺炎流行による非常事態宣言下。
当然と言えば当然ですが、ソニー・ミュージックの電話窓口は閉鎖となっており、
一旦、様子を見ることとなります。


メール窓口は開いていたんですけどね…。


白状すると自分、ものすごい筆無精 なんですよ。
なので、なるべく直接会話して話を終わらせたかったんです。


え?筆無精ってお前、
毎回この 長文ダラダラ垂れ流しブログ 書いてるじゃないか!って?


いや、実はこの重箱blogもiPadに向かって 喋って入力してる んです。
というかむしろ、iOSに音声入力がついたからブログを始めたというレベルです。


♫〜 想像してごらん。
     独りぼっちの部屋で重箱blogの内容を淡々と音声入力しているミツカワを〜
      唄 / ジョン レノン


がその後、非常事態宣言が解除となっても電話受付は閉鎖のままでしたので、
ここは 観念して メールで連絡を取ることとしました。






ここからは拍子抜けするほど、とんとん拍子でした。






上記の通り、論拠としては『自分の印象 + 過去のラジオでの発言』となるわけですが、
窓口となる方 (しかも在宅勤務) いきなり細かいことを話しても伝わらない と思い、
最初のメールでは大掴みに、

・この曲の作曲者クレジットは間違いないでしょうか?
・同グループの木根氏作曲ではないですか?

とだけしたためて送りました。


やり取りする中で、ラジオでのやりとり等の詳細を伝えればいいと考えていたのですが、
先方からは「早速、担当部署に伝え調査させます」との返事が来て、
正直なところ、少し拍子抜けしました。


もちろんこの状況下ですので、調査にもある程度時間がかかるとは思いましたが、
その間も窓口の方から丁寧に現在の状況を伝えていただき、
こちらとしては本当に ただ待ってるだけ で充分でした。


今考えてみれば、権利関係の根幹に関わる部分なので、
調査そのものよりジャスラックを始めとした登録の修正や、
ブックレット交換の手続きを整えることに時間がかかっていたのではと思います。





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以上が「グリニッジの光を離れて」ミスクレジット指摘のあらましです。
今回、ミツカワがしたことはほとんどありません。

ミツカワの与太話を GAUZE氏が惑星氏に繋いでくれたおかげ であり、
その話を受け止め、論拠となる資料を探し出してくれた惑星氏のおかげ です。

もし、どちらかが1つでも欠けていたら、
ミツカワはいつまでも解けないパズルを抱え続けていたでしょう。




    両氏には改めて感謝いたします。





今後、クレジットが修正されたことで木根氏に入る印税が少しでも増え、
彼が新しいサングラスを買えるといいですね。





おしまい。





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さて今後のミツカワですが、重症化しやすい自分の体を考えると、
確固たる治療法が確立するまでは、現在の活動を諦めざるをえません。

野外イベントに振切った生活をしていたため、なかなか頭の切り替えができないでおりますが、
今の状況でできるプロジェクトを構想中です。



最後に供養としてこれを置いておきます。
姉妹曲として作った2曲をつなげたものです。

以前、プロモーション資料として作成したものですが、
今後使用する機会もないので、ここだけでひっそりと公開します。
楽しんでいただければ幸いです。






以上、「Tomorrow Made New」と「Kiss You」と「Maria Club」の
三密状態を回避できない ミツカワでした。



んじゃ、また。