2013年5月21日火曜日

この人を讃えよ 〜 小泉洋編 〜 その3

さてさて、書いてる本人が一番驚いている
怒涛の小泉洋ゴリ押しキャンペーンも今回で一区切り。





このテーマもいよいよ最後。
[ライブ中に『マニピュレーター』は何をしているのか?
 〜 1985年・小泉洋の場合]








最後を飾るのは、前回予告した
・演奏&コーラスに参加
・トラブル時の対処
に、補足事項として
サンプラーのロード時間と一部演出の関係
・曲順変更
を加えお送りする。




なお前回、前々回の内容とも一部関連してくるので
まだお読みでない方はそちらを先に目を通していただきたい。



【関連エントリー】








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サンプラーのロード時間と一部演出の関係





まず小泉洋とは直接関係ないが、
前回のサンプラーのロード時間について、
積み残しがあったのでふれておこう。

前回冒頭でふれた『一部演出』にも影響したという部分だ。




まずこちらを見て欲しい。


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SE     ~ Childhood's End ~

01  Dragon The Festival
02  カリビアーナ・ハイ
03  Rainbow Rainbow
04  8月の長い夜 
05  永遠のパスポート
06  Fantastic Vision
07  Faire La Vise
08  愛をそのままに
09  Time
10  組曲 Vampire Hunter D
11  1974
12  金曜日のライオン
13  QUATRO
14  パノラマジック
15  Accident
16  Electric Prophet

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これはツアー最終日 (注)
1985年10月30日 日本青年館公演でのセットリストである。

  (注) ツアー終了1ヶ月後に山口市民会館にて
    『エフエム山口開局記念』と冠した
    同内容の無料招待コンサートが行われている。






セットリストには書かれていないが
5曲目「永遠のパスポート」と
6曲目「Fantastic Vision」の間に
唐突に1分弱の木根尚登によるアコースティックギターソロが入る。


前曲のエンディング、あるいは次の曲のイントロにつながる
… というわけでも特にない。



ポコ太としては、ここは
かなり怪しいとにらんでいる。



前曲の「永遠のパスポート」では最後をストリングスで〆ており、
「Fantastic Vision」ではイントロからピアノの音色で演奏が始まる。
おそらくこの間、ロード時間を確保する為の時間稼ぎだろう。







ファンの方ならリハ中に ↓ こういう会話があったろうことが余裕で頭に浮かぶのでは?


小泉洋  「ここ、ロード時間が足りないんだけど」
小室哲哉 「じゃあそこ、木根なんかやってよ」
木根尚登 「え?!お、俺?!」







またツアー中盤までは13曲目「QUATRO」の前にも
松本孝弘による、まったく空気を読まない
ヘビメタ全開の Guitar Solo が差し込まれている。
ここもなんらかの時間稼ぎだった可能性がある。






       スポットライトを独り占めにしてギターを弾く木根尚登。
          今、ステージは彼(と小泉洋)のためにある。

































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・演奏&コーラスに参加





小泉洋はマニピュレーターとしての作業をこなしつつ、
手の空いた時には演奏にも参加している。


例えば「Rainbow Rainbow」では
一部、ハンドクラップの様な音を手弾きしており、
この音に合わせて宇都宮隆が手拍子を打つ光景が見られた。


    
参考までに、2008年に発売されたCD
『TM NETWORK THE SINGLES 1 (初回生産限定盤)』のDISC2に収録されている
「Rainbow Rainbow (Live at 日本青年館)」の(5:14〜5:16)で
右奥から聞こえる音がソレだ。
ただ残念ながら、このCDではMixの関係で非常に遠くで鳴っている。





また前回のエントリーで述べたように
「組曲 Vampire Hunter D」は
小室哲哉、小泉洋、白田朗の3人だけで演奏されている。






アイコンタクトをとる宇都宮隆と小泉洋

































もう一つ注目すべきなのがコーラスだ。





TM NETWORK のライブでは
オリジナルテープからサンプリングされたコーラスが随所に流れ(注1)
CDと同じ様なきらびやかさをみせるが、
このツアーではこれまでに述べたように
とてもそんなことが出来る
サンプラーのメモリー容量がない(注2)


そのため小泉洋も含め、
サポートメンバーにもマイクが立てられ
みんなでコーラスをして音の厚みを出そうとしている。






ライブ中忙しい中、多くの場面でコーラスをとる小泉洋の姿が見られた。

他メンバーと共に歌う小泉洋(画像右下)彼も立派なバンドメンバーだ。






























(注1)この部分は「TM NETWORK」と「TMN」のツアーの違いでもある。
(注2)容量不足というのはこの後も数年、悩まされることになる。
    これが解決されるのは1987年後半の
   「Kiss Japan tour」あたりになってからだが
    これについてはまた、いずれ。








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・曲順変更





ライブ中の話ではなく仕込みの話になってしまうのだが
ひとつ、ふれておきたいことがある。





このツアーではたった7カ所(+1カ所)にもかかわらず
途中、広島公演などで2度程、曲順変更が行われた。


・ツアー開始早々に後半頭(「1974」の前)に演奏されていた
「FAIRE LA VISE」が、前半「Fantastic Vision」の後に。

・ラストの盛り上がり曲を
「金曜日のライオン」から「アクシデント」に変更。


などである。








特に「金曜日のライオン」と「アクシデント」の位置は
ツアー全般にわたり安定しない。


ラストの盛り上がり曲は変更の度に
エンディング部分のジャーンというところが
その都度アレンジしなおされている


一部の会場では「金曜日のライオン」のエンディングで
強引に「Dragon The Festival」のイントロが演奏されており、
これはさすがにとってつけた感が否めない。







この辺、舞台演出からの要請があったのだろう。
また最新アルバムの曲で〆たいという部分
(「Dragon The Festival」で始まり「アクシデント」で終わる)
もあるのではないだろうか。


これはツアー途中、本編エンディングが
「GET WILD」から「TIME TO COUNT DOWN」に変更された
「RHYTHM RED TOUR」にも言える。










ということで行われた曲順変更。










通常のバンドなら大して問題は無いのだが、
打ち込みがあるバンドは大変である。



特に一部の会場では
「アクシデント」から「金曜日のライオン」を
ドラムマシンのリズムによってノンストップで繋いでおり、
これを最初にあげたセットリストのように、別々の位置に差し込むのは
ただ『曲データの順番を差し替え』で済む話ではなく、
データの手直しが必要だと思われる。



まして前回述べたような、
音色変更のタイミングまでガチガチに決められたライブなので
曲データを呼び出す順番だけでなく、
『ライブ中の作業工程リスト』全般を
一から見直す必要があっただろう。








本当、マニピュレーターって大変。









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・トラブル時の対処





最後に『Dragon The Festival』tour で起こった
『音に関するトラブル』をいくつかあげておこう。
もちろん「音に関すること」以外にもいろいろあったようだ。
一部はこちらのエントリーでふれているので見てもらいたい。






まず一番多かったのは、やはりシンクロの問題。
ドラマがモニターしているクリックと他の機材のタイミングがずれる。
もしくは 全然同期しなかった



また、こちらのエントリーでとりあげたように
ムービング・トラスの影響で
通常のコンサートよりも更に暑い舞台上だったため
その熱と振動で『Emulator II』の音色ロードがうまくいかない時があった。








そして極めつけはこれ ↓






照明が切り替わると
そのノイズがMIDIコードにのってしまい、
突然、プリセットの音色が変わってしまう














小見出しに『トラブル時の対処』と書いたが
これにどうやって対処したのか、
あるいは対処できなかったのか分からない。




正直、対処のしようなんか無いものもある。






ただ、ポコ太としてはっきり言えるのは、
観客も他の演奏者も普段注目なんか全然してくれないのに
何かトラブル起こったときは全員が
いきなりマニピュレーターの方を見る
のがお約束である(涙)




しかも、この場合のトラブル対処とは、
ただでさえパニクるような状況の中で、
ステージの上でライトを浴びながら衆人監視のもとに行うのである。




はっきりいって演奏者よりも大変だ!






ひとつ声を大にして言っておきたい。
街でマニピュレーターを見かけた時は
皆さん、優しい目で見守っていただきたい。









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と言うわけで今回のエントリーはおしまい。
これにて一連の小泉洋編は一旦、区切らせていただきます。





ところで誰も覚えてないと思いますが、この小泉洋編
『タイムマシンで80年代に来ている』という設定 だったので、
再び、タイムマシンに乗り2013年に戻りましょう。

いやほんと、ポコ太も忘れてたけど…。




んじゃ、また。






4 件のコメント:

  1. 青い惑星の愚か者2013年5月23日 23:26

    照明のノイズでプリセットの音色が変わる!
    なんという悪夢!
    リハ中とか休憩中ならともかく、本番中にこんなの起こったらどうしようもないですね

    これは小泉さん、10円ハゲになってもしかたないです
    翌年のよみうりランドでは逆にMIDIで照明を操作するんですから、この頃の技術の進歩はすごいですね

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    1. >> 翌年のよみうりランドでは逆にMIDIで照明を操作するんですから


      あはは(笑)そういえば確かにそうですね。

      思わず虎と龍のイメージを背負いながら対峙する
      MIDIコードと照明器具をイメージして吹き出してしまいましたよ。

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  2. 小泉洋 氏とサンプラーもろもろ問題すごく興味深かったです。
    しかしTMは‥なんとなくは解ってはいたがこんなめんどくさいライブをやってたんですね‥
    もうシンセで出る音だけで生演奏すればいいのにとか思ってしまいますけど‥
    やはり小室先生はライブでもピコピコいわせたいし、サンプリングボイスなんかを連打したかったんですね‥まあこのこだわりが今のTMがあるだろうし、そんなTMが好きな自分もいますってな感じです!

    そんなこんなでTM NETWORK の重箱のスミ!はTMのぴあ本なんか読むより興味深い内容ばかりで読み出したら止まらない感じになってきています!
    もうその都度コメントは書きませんが(コメントを書くとポコ太さんは毎回返信書いていらっしゃるので大変だろうと思い、ちょっと控えます‥興奮のあまり書くかもw)
    もう全記事制覇したと思います!

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    1. おお、こちらもご覧くださったんですね。


      >> こんなめんどくさいライブをやってたんですね‥
      最近ふと考えるのですが、
      ハードディスクから垂れ流しができる現在のライブから考えると
      この頃、特に80年代中頃までの打ち込みライブって、
      もう十分『生演奏』ですよね。


      >> 大変だろうと思い、ちょっと控えます‥興奮のあまり書くかもw
      色々とお気遣いいただきありがとうございます。
      興奮したらどんどん書いちゃってくださいね。
      僕もつい、興奮して返信しちゃいますので。

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