2014年4月28日月曜日

速報レポート / ツアー『the beginning of the end』

!Attention!
ネタバレ成分は控えめになっておりますが、
お体に合わない場合はただちに使用を控え、医師にご相談ください。




ついに始まったツアー。
『TM NETWORK 30th 1984~ the beginning of the end』
昨日4月27日、最初の地となる
府中の森芸術劇場での2日目の公演を観てまいりました。





レポートに入る前におことわりを。


実は今回、ミツカワは『ツアーをまっさらな状態で楽しみたい』と考え、
4月22日発売のアルバムもシングルも買いませんでした。
買わないどころか、
試聴すらしませんでした。

ついふらふらと解禁直後に「LOUD」を聴いてしまったことを悔い、
今回は誘惑に負けないため、さらにTMの曲自体を聴かない
『TM断ち』という荒行を行いました。

前エントリーのコメント欄によせてくださった興味深い事例の検証のため、
「Carol (Carol's Theme II)」を聴いた以外は「Maria Club」も「Kiss You」も
「Tomorrow Made New [EXPO ver.]」も無い、
空虚で色彩のない日々…。



ライブ直前の3日間程は、もう禁断症状が出るような状態。

仕方がなく『そうだ!似たようなものを…、似たようなものを聴こう!』と思い、
クリィミーマミのエンディング
「LOVEさりげなく」(※)を繰り返し聴いていました。
        (※)編曲 - 西村昌敏 ギター - 松本孝弘

























    → 結論として、やっぱりTMとはちょっぴり違うような気もします。





しかしそのおかげで、この日は最初から最後まで、
かなり新鮮で様々な驚きを得ることができました。

とまあ、このようにかなり特殊な環境で臨んだ奴の書いているレポートですので、
そこはご了承ください。





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今回は昨年のライブとは異なり “ツアー“ 

しかもまだ始まったばかりなので、
どこまで書いていいのか、正直迷うところです。

というのも、アルバムとシングルが出た時点で、
演る曲目はネタバレしているわけです。
なので、いきなり踏み込んだことを書きますが




「DRESS2」は全てやる。ただし、ウチ1曲は日替わり要員。
            +
 数は少ないが「DRESS2」以外の曲も演奏する。




皆さん気になるのは、やはり「DRESS2」以外の曲だと思うのですが、
その中の1つは、まさかのアルバム「Major Turn-Round」から、あの曲が!

新たな歌詞やメロディーを付加されていて、これはもうLive アレンジを超えて、
ニューバージョンと言っていいのではないでしょうか。
3人だけで演奏したので「DRESS2」のテイストとは異なるのですが
このツアーの見所は、ひょっとするとこの曲かもしれません。


尚、この日(4/27)は「金曜日のライオン」をやらなかったのですが、
ただ「小室ソロコーナー」~「次曲のイントロ」の繋ぎ部分で、
この曲のシンセブラスのリフを弾いていました。





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開演前の舞台には幕が下り、会場にはランダムに既存のTM曲が流されています。
この選曲が「FAIRE LA VISE」「69/99」
「雨に誓って」「月の河 / I Hate Folk」などなど、頭を抱えるほどランダムすぎ!
まあ、ココは日によって違うのでしょうが…。

さて「REASONLESS」を聴いて、
すっかり鬱な気分になったところで、
いよいよ本編スタートです!




まずはスクリーン上映あり。約5分弱。
そして大歓声の中、幕が上がります。


姿を表した舞台セットを見たミツカワは思わず「おぉ」と声をもらしてしまいました。
特に趣向をこらしたとか、奇抜なものでは無く、むしろシンプルなデザインなのですが
「そう来たか!」と思わせるものがありました。


今回は久しぶりに舞台上手に木根尚登、下手に小室哲哉という配置。



これ以降、曲順、演出等はバレ防止のため詳しくは書きませんが
ツアータイトルからも推察できるように、
今回のツアーは昨年のさいたまアリーナと完全に地続きとなっています。

ということで小芝居あり。
ただ今回は役者さんではなく、宇都宮隆と木根尚登が演じることとなります。


いつものこととはいえ、小室哲哉のムチャぶり企画のせいで、
舞台に背を向け、何やらデータを確認しながらパソコンのキーを打つ2人の姿を見ていると、
「TM NETWORKと言えど、
 楽な仕事じゃないんだなぁ」
と感じました。(←率直すぎる感想)





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演奏曲数、少なめ。
しかしライブは2時間。

つまり、
・イントロ ← 長え~よ!
・間奏 ← 長え~よ!
・曲と曲の間のつなぎインスト ← 長え~よ!


アルバム「DRESS2」でのアレンジも十分長いですが(←今、初めて聴きながら書いている)
これに、どこまでがエンディングで、どこからが次の曲のイントロか分らないような
 “つなぎ” のインストが挟まるため、ミツカワとしては大歓迎なのですが、
歌を聴きたい人には微妙かもしれませんね。





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宇都宮隆。
あれだけの大病の後なので、決してまだまだ本調子では無いとは思いますが、
少なくとも舞台上で見る限りは、元気な姿に戻っていました。
歌声はもちろん問題無し!
ハンドマイクで前に出てくるシーンもあり。

ただ先に書いたように、インスト部分が長いため、
しょっちゅう舞台袖にはけていました。



小室ソロコーナーあり。
いつものパターンでいろんな曲のイントロなどを、さわり程度に弾くようなものです。
ただこの日は残念ながら、1台のシンセの高域が音割れを起こしていて、
聴いていて不快な部分がありました。
弾いている本人も左耳のイヤーモニターをいじっている姿が見られ、
おそらく分かっていたんだと思います。

そのためかどうか、全体としてかなり散漫な印象が残りました。



しかし、これが引き金になったのか分りませんが、
この流れからの次曲「Get Wild」冒頭のフレーズサンプリングプレイ中、
(ジャンジャン・ジャンジャンね)で、とんでもない事が!





これは今後、あちこちの会場でやるようなこととも思えないので、
ネタバレを恐れず、はっきり書きますが、

3段積みキーボードスタンドの1番上に置かれた Roland「V-Synth GT」に向い、
小室哲哉、右足を振り上げ





      まさかのハイキック!





観客もどよめきます。

このシンセの置かれた高さは、小室哲哉のちょうど脇くらいでしょうか?
年齢を考慮せずとも、なかなか凄いパフォーマンスだったと思います。
小室哲哉さん、30年目にして新境地!
さぁ、早く吉川晃司のシンバルキックと競演するのだ!





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今回の小室ブースに置かれたシンセは全部で8台。
Studiologic「Sledge」など、ここのところ定番となったシンセばかりでした。

またそのうち2台には昨年と同じように、それぞれiMacが今回は2台ずつ、
計4台が繋がれていたのですが、このiMac、スタンド部分が外され、
おそらく特注のスタンドにより、かなり角度がつけられていました。
(ちょうどノートパソコンを全開にしたような角度)

そのため昨年はともすると
「Live中にネットをする人」
のような画になっていましたが、
今回はなかなか、さまになっていました。

iMacは客席に背を向けていたため、その画面を見ることは出来なかったのですが、
音から判断するに、相変わらず reFX「NEXUS2」は、使われていたようです。 




それと最後の方で気付いたのですが、
ライブ終盤で木根尚登が久しぶりにYAMAHA「GX-1」を弾いていました。
ちょうどDVD化が発表された「Live TOMATO」(88年の方)でも弾いていた、
白いボディのものです。(コレ↓)
























あ、そうそうハーモニカも吹いてましたよ!





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アンコールはありません。

どころか『アンコール!』と叫ぶ余地すら与えられません。
有無を言わせぬ形で、気づいたら終わっています。





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全体としては、まだ『シナリオ通りに一つ一つ進めている』
といった部分が垣間見え、固い感じは拭えませんでした。

これはツアースタート直後であれば、いつのときも同じであり、
この後全国を巡り、どのように成長して還ってくるかを
楽しみに待っていようと思います。




この日、残念だったのは、スピーカーから出てくる音、
いわゆる『ハコ鳴り』がライブ序盤は、あまり良い音ではないように感じたことです。

ただ、ギャーギャーうるさいだけで、芯も、深みも無い印象で、
正直『ああ、こんなものか』と思ったのですが、
それが5曲目の後半くらいから急に音の芯が見え、
腹にバスドラの音がズンズンと響く様になりました。
ひょっとしたら途中で改善されたのかもしれません。



パンフレットは非常に資料性高し。
過去のアルバム1枚ずつに3人それぞれがコメントするなど、
読み物として非常に充実しています。
あまりに充実しすぎて、もう逆に
「今までのパンフは何だったんだよ!」
という怒りが湧いてしまう困った一品です。

なお会場で配布されたリーフレットには、
すでにこのツアーのDVDが発売予定として告知されていました。





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最後に1つだけネタバレします。



おい、誰が「MALIBU」のニューバージョン
なんか作ってくれと頼んだ(笑)!




んじゃ、また。






2014年4月21日月曜日

メモリアルエントリー / Thank You TM NETWORK!

ミツカワです。

この『重箱 Blog』はこちらにも書いた通り、
80年代のライブ活動を中心に据えたものなので
30周年にあたって、特になにか書くつもりはなかったのですが、



   気づいたら書いちゃってた (///∇//) ♪〜



ので up します。








その前に、New Single『LOUD』についても書いちゃえ!


イントロの時代がかった『大プログレシンフォニー』には驚かされたものの、
歌が始まってからは『ずいぶん "ベタな曲” だな』と思っていました。
が、2番を聴いてひっくり返った。




  えっ…この曲、Bメロから始まってたの!?




仮に1番の構成を [Aメロ→サビ] だとすると、
2番は [サビ→Aメロ→サビ] ということになりますが、
2番の冒頭『♪とめどなくあふれる~』はメロディーこそ [サビ] と同じですが、
Keyが違うこと。バックの音数の少なさや、コーラスが重ならないところを見ると
やはりこれは [Aメロ] として扱われていると思われます。(これ自体は割とあること)


しかし、となると2番は [Aメロ→Bメロ→サビ] という標準的な構成となり、
そこから逆にたどると、やはり1番が [Aメロ] の存在しない
 [Bメロ→サビ] という構成だったことに…。

2番に [Aメロ] が無いというのはよくありますが、1番に [Aメロ] が無いというのは、




       ド変態じゃん!




しかし、こんなド変態の構成を "ベタな曲” に思わせてしまうというのは、
なかなかちょっと真似できるものでは無いですよね。








ところで前作「I am」では
イントロ→ U2「Where The Streets Have No Name」
♪I am a human~ → Human League「Human」♪I'm only human~

と、ともに80年代の大ヒット曲を意匠として取り込んでいるように感じていたのですが


今作では ♪Loud,Loud,Loud,Shout it Loud~ が
Tears For Fears「shout」の ♪Shout, shout, let it all out~
を、これまた想起させる…。






























と思ったら、2012年/渋谷イベントでのデモ段階では
♪Shout, Shout, Shout, Shout it Loud~ となっていますね。

やっぱりそういう意図があるのだろうか…。







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さて今回のテーマは
  [Thank You TM NETWORK ~ 
    大切なことは「Tomorrow Made New」と
      「Beyond The Time」が教えてくれた]







皆さん!
皆さんは、普段お聴きの様々な楽曲がどのように制作されているか、
どんな作業工程があるのか、よく御存知でしょう。

ただ、

・作詞
・作曲

これは誰でも、どんな作業か具体的に想像がつきますよね。


しかし、その後

・編曲
・mix
・マスタリング

この辺になると、下に行くに従って次第にブラックボックス化され、
なんとなくは分かるものの、いまひとつ何をやっているのか、
それがどんなに重要なのかピンとこない、というのが実情ではないでしょうか。



ミツカワも本格的に楽器に触れたのが、20歳を過ぎてからと、
かなり遅かったため、ずっとそれがどんなに重要な作業なのか、
頭では分かっているつもりでも、胸の奥底では

『と言ったって、大切なのは
 結局やっぱり "詞とメロディー” でしょう』

と、思っていた時期があります。



今回は、そんなミツカワが
TMの楽曲によって気づかされた、いくつかのこと。
その体験談をもって、ささやかではありますが、
30周年をお祝いさせていただこうと思います。







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~ 編曲および音色の重要性 ~



まずはこのコメントに目を通して頂きたい。


  パノラマジックと比較して欲しいのですが、コード進行はほとんどいっしょです。
  アレンジと音の使い方の違いで、アウトドアと、
  さらに大気圏外との差みたいなものを感じてもらえますか?


これは1986年5月、スコアーハウスから発行されたバンドスコア「VISION MELODIES」
に掲載された「FANTASTIC VISION」に対する小室哲哉自身のコメントである。




「パノラマジック」と「FANTASTIC VISION」、
実際のコードネームは表記上かなり違うのだが、
ここでベースラインが…とか、構成音が…とか言い出すと、
あっという間にめんどくさい話になって、話の趣旨から逸れるので、
このコメントの要点部分のみを端的に表現してみた。
コード進行が同じという事は、つまりこういうことである。
(口に何か含んでいる場合は注意!フイても知りませんよ)





意図的にメロディーを変えたのは ♪た~かく、た~かく~赤字部分のみ
その他はビックリするほど、違和感無くハマりました。

このように、和音の流れが同じような曲というのは山ほどありますので、
見つけたら、皆さんもやってみましょう。楽しいですよ!
ちなみにミツカワは「10 YEARS AFTER」のカラオケを流しながら、
気が付くと「Maria Club」を歌っていることがあります。







話を戻す。
つまりこの2曲、作曲者は違うものの作曲の初期段階では
似たような雰囲気の曲だったということが分かる。


しかし、CDに収められた完成版は小室哲哉のコメント通り
・「FANTASTIC VISION」→ アウトドア
・「パノラマジック」      → 大気圏外
見えてくる景色が全然違う
これはすでにイントロの時点からなので、歌詞の違いだけによるものでは無い


とても興味深い事例ではあるのだが、
しかし1986年当時、ミツカワはまだ楽器をやっていなかったので、
コード進行云々のところが、いまひとつ意味がわからず、
ただ何となく "大切なことを言っている” という印象だけが残っていた。







そして時は流れ1991年9月、アルバム「EXPO」の発売日。


































手に取ったCDのクレジットに「Tomorrow Made New」の名を見つけたものの
すでにライブビデオに収録されていたせいで、
特にありがたみを感じず、期待もしていなかった。

むしろこの曲は、本アルバムのコンセプトである
『月とピアノ』に沿っていないのではとまで感じていた。








しかし、しかしである。
今でもその瞬間をはっきりと思い出せるのだが、
曲が始まってわずか2小節で、ミツカワの体中に電流が駆け巡った。





    [RHYTHM RED tour ver.] と
    見えてくる景色が全然違う!!





それは確かによく知っている「Tomorrow Made New」ではあるものの、
全く知らない「Tomorrow Made New」でもあった。
しかも先の例とは異なり、今回は同一の曲 である。
それが編曲ひとつでこれだけ印象が変わる(変えられる)というのは衝撃的であった。



そしてその瞬間、先に挙げた「パノラマジック」と「FANTASTIC VISION」に対する
小室哲哉のコメントが、時を超えてフラッシュバックしたのである。

この頃ちょうど鍵盤に触れ、曲作りにのめり込みはじめたミツカワは、
1986年のコメントの意味を、
ようやくはっきりと認識した。



また、[RHYTHM RED ver.] を LIVE ver. ではなく、デモ ver. と捉えると、
[RHYTHM RED ver.] → [EXPO ver.] の変化が、
神の手(制作者の意図)を垣間見る様で、大変興味深かった。




具体的に、どう手が加えられたのか?
それによって見える画がどう変わったのか? については、
次回に それはもうネットリとやる として、
ミツカワにとって「Tomorrow Made New [EXPO ver.]」というのは、
この貴重な "気づき" を与えてくれた恩人の様なものなのだ。

それゆえ、いまだにミツカワは
「Tomorrow Made New [EXPO ver.]」に足を向けて眠れない。
って、どっちの方角だよ!







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~ ちょっとブレイク ~



先の動画のような『同じコード進行に、違うメロディー』
その後、小室哲哉は意識的にこの手法で、
あえてコード進行を固定し曲を量産するようになる。

彼の代名詞ともいえるコード進行
『Ⅵm→Ⅳ→Ⅴ→Ⅰ』である。
「Get Wild」「Human System」「悲しいね(渡辺美里)」など、枚挙にいとまがない。
また、一部を変形させた「Love Train」の様な曲も多い。

これはコード進行を固定することにより、一聴しただけで誰が作ったか分かるようにする『ブランド化戦略』だ。



実際にはそんなに特殊なコード進行では無く、例えば BOØWY の「MARIONETTE」や
意外なところでは「君をのせて(天空の城ラピュタ)」など、
他の作曲家の曲でもよく見られるものだったのだが、
小室哲哉がしつこく、しつこく、使い続けることにより、
いつしか『小室進行』などと言われる様になったのは御存知のとおり。


しかしこれは "ワンパターン”  "クドくて拒否反応が出る” 
などの批判も産み出すことにもなった。
また本人はそのつもりがまったく無いのに、このコード進行を使ったために
『小室の真似』と言われてしまう、巻き込まれ型の被害者を産むことにもなった。



もちろん、これらの曲は先の動画と同じく "メロディーのとりかえっこ” が可能だ。
そう、「Get Wild」のカラオケに合わせ
「君をのせて」を歌うことも…だ。
(やってみると頭がクラクラしてきますよ)




ただ、実際にコードとメロディーの関係を鍵盤で追ってみると、
9thから始めたり、終点をsus4に変形させたり工夫している様がうかがえる。
意外と気にしていたのか?(笑)→ ワンパターン批判





さて次は、もう一つの "気づき" の話。







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~ mix 作業の重要性 ~



話はさらに数年前、1988年12月にさかのぼる。
ここでの主役はアルバム「CAROL」に収録された
「Beyond The Time (Expanded Version)」だ。
何が "Expanded" なのかは一切不明 だが…。



実はこの曲、アルバム「CAROL」の中で、
唯一、日本でレコーディングされた音で構成されている。
つまりシングル版と素材(楽器演奏やボーカルのテイク)は同じだ。
それだけにその後の作業、つまり
『mix 作業の効果』を知るには最適 である。



「Beyond The Time」は、シングルが同年3月に発売されてから、
このアルバムに収録されるまで
  "シングル版しか存在しない期間= 予習期間 
 が、かなり長かった ため、初めてアルバム版を聴いたとき、
素人のミツカワにも、シングル版との違いがはっきりと分かった。



曲の一番最初の部分。

シングル版では『ジャ~ン』と塊で聴こえた音が、アルバム版だと
ギターの弦、1本1本の隙間が見えるとでも言えばいいのだろうか、
『ジャラ~ン』と聴こえてきたのだ。







その瞬間、今までさんざん聴いてきたシングル版とは
全く違う景色が、ミツカワの前に広がった。


シングル版が、スクリーンに映った
"どよ~んと曇った宇宙" (変な表現だが)とするなら、
アルバム版は "どこまでも広がる広大で澄み切った宇宙に
自身が放り込まれたよう" な印象を受けたのだ。

さすがガンダム。
まさに『どっちを向いても宇宙。どっちを向いても未来』だ(←それ違う番組)
まぁ、映画の内容を考えると "どよ~んと曇った” 方が合っている気もするが…。







       なぜ同じ素材を使っていながら、
     ここまで印象が異なるのか?







あわてて聴き直してみると、
このイントロ部分だけでも、かなり違いがあることが分かった。


例えば、シングル版では右端でチキチキと鳴っていた
打ち込みのハイハットがバッサリカットされ
さらに和音を抑えていた鍵盤の音は、はるか彼方に押しやられている。

こうしてできた音の隙間から、シングル版では聞き取りとれなかった、
一つ一つの音の余韻が聴こえてくるようになったのだ。


特に、先にも書いた『ジャラ~ン』と和音を弾いたギターの音程が
その後ずり下がっていく部分の余韻は、
シングル版では味わえないみずみずしさを湛えている。


また、0:18 から入ってくる歪んだギターの音も、
シングル版では目の前で鳴っているのに対し、
アルバム版ではまるで遠雷のような響きをたずさえている。


さらに、Bメロからスタートするスネアの音も、シングル版では息がつまるというか、
まるで目の前に立ちふさがるような鳴り方をしていたのが、
アルバムでは、自然な余韻が付加けられ、ほどほどに後ろに下がった結果、
ボリュームを上げても耳が痛くならない。



実はミツカワ、シングル版の時点ではたいして興味のなかった曲(※)だったのだが、
このアルバム版はぐいぐい引き込まれてしまった。

  (※)これは曲の良し悪しではなく、
     シングル発売当時、大量にオンエアされていた映画のCMの印象が強過ぎて、
     『TMの曲』というより『ガンダムの曲』というイメージだったため。









「Beyond The Time (Expanded Version)」の特徴というより
これはアルバム「CAROL」全体にも通じる話だが、

 ・前後・左右・上下・奥行きの幅が広い。
 ・それぞれの音に付加された余韻が自然。
 ・高域のみずみずしさ。
 ・低域のふくよかさ。

などなど、これはもはやアルバム用の mix というより、
アルバム「CAROL」を担当した、
スティーブ・ナイによる添削指導
という様相を呈している。

事実、小室哲哉自身まずこの曲をテスト的にミックスしてもらった結果、
アルバム「CAROL」のミキシング・エンジニアは、
スティーブ・ナイで間違い無いと確信したそうだ。








TM NETWORK には申し訳ないが、ミツカワにとって
アルバム「CAROL」の主役は、
このスティーブ・ナイと、
録音を担当したスティーブ・ジャクソン である。


1曲目「A Day In The Girl's Life」冒頭のシンバルロールから始まり、
どの曲を聴いていても、つい曲ではなく
1つ1つの "音そのもの” の美しさに耳が奪われてしまう。






同じく mix という意味では「Seven Days War」における
スネアドラムの音色の違いにもかなり驚かされた。

シングル版がシングルらしく派手な『パーン』という音に対し、
アルバム版では『スタン』と落ち着いた音になっている。

これはアルバムを通して聴いたとき、他の曲との違和感が無いように、
また、アルバムを通して聴き続けた時、耳が疲れないようにという配慮だろう。
これも決して音を録り直したのではなく、Mix の違いによるものだ。







逆に言えば、
mix ひとつでここまで印象が変わってしまう、
というのは恐ろしいこと とも言える。






我々が "レコーディング" と聞くと、アーティストの作曲シーンや、
演奏や打ち込みをしている姿を思い浮かべがちであるが、
実はその後で、ガラッとイメージが変えられてしまう可能性があるのだ。

アーティストが mix エンジニアの選定にナーバスになったり、
わざわざ mix をするためだけに、海外に行く意味がよく分かるだろう。





ミツカワにとって、
この「Beyond The Time (Expanded Version)」以前と以降では、
mix に対する認識が180度変わった。
ありがとう
「Beyond The Time (Expanded Version)」!
僕は君のことを(普段、全然聴かないけど)決して忘れない。





ただ最初の出会いが、この『最高峰の音』だったため
これ以降、今に至るまで mix 作業に対する強烈な苦手意識も植え付けられてしまったが…。

おのれ「CAROL」!!(←浮き沈みの激しい人)







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~ マスタリング作業の影響力 ~



最後に、マスタリングについても簡単に触れておこう。

マスタリングに関しては、曲毎の音量、音質を整えるといった静的なものから、
積極的に音にアプローチするといった様々なスタンスがあり、
なかなかその効果を文章で表現するのは難しい。


一般的な認識だと
・音量・音圧が上がる。
・細かい音が聴き取りやすくなる。
といったところだろうか。


ここでは、それだけではない
マスタリングの大切さ(恐ろしさ)を感じ取れる例をひとつ挙げておく。







・Welcome to the FANKS!
・TM NETWORK THE SINGLES 2 (初回生産限定盤)


両ベスト盤に収録されている「We Love The Earth」を聴いてほしい。
ざっくり言ってしまうと「~ SINGLES 2」版より「Welcome ~」版の方が
曲全体の重心が低く、落ち着いた感じになっている。



特に顕著なのが Bass だ。

・「~ SINGLES 2」版ではかなり “fat” な鳴りをしていて、
  Vocal のすぐ下にピッタリとくっつく様に位置している。
・「Welcome ~」版では落ち着いた音に調整されており、
  Bass 本来の、かなり下の位置に収まっていて、
  結果的にVocal とBass の間に空間が生まれている。

ミツカワの好みとしては断然「Welcome ~」版なのだが、
オリジナルに近いのは「~ SINGLES 2」版だ。
これは先に書いた
マスタリング作業に対するスタンスの違い だろう。



その他、イントロ頭から鳴っている、リズムマシン(TR-808)のKick の音に注目すると

・「~ SINGLES 2」版ではオリジナルに近い “トン・トン “
・「Welcome ~」版では “ドゥン・ドゥン“ + 高域で “ジー・ジー“ 。

と、その鳴り方が違うのが判るだろうか。
(判りづらい場合、スピーカーやイヤホンなど環境を変えてみてください)



このように、mix 作業を終えた以降でも、
まだ全体のイメージを左右してしまう工程があるということだ。
マスタリングにまでアーティストが神経を使う理由が、
少しは分かっていただけただろうか?










さて、この「We Love The Earth」に限らず、
総じてミツカワは「Welcome to the FANKS!」の音に好感を持っている。…のだが、






 「ただしジャケットデザイン…テメーはダメだ!」 






























         「Welcome to the FANKS!」2004年12月リリース

































      The Chemical Brothers「Singles 93-03」2003年9月リリース







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というわけで、いかがだったでしょう?
ほんのちょっぴり、メモリアルにふさわしい内容だったでしょう?

実は、この他にも書ききれなかったことがいくつかあるのですが、
(なんせ30年ですもんね)それはまた、いずれ。

兎にも角にも、
TM NETWORK 30周年、おめでとうございます。





さて次回は、いつもの路線に戻るよ!
いよいよ「Tomorrow Made New」 [RHYTHM RED ver.] VS [EXPO ver.]
ガチンコ対決だよ!!


んじゃ、また。







2014年3月31日月曜日

春だもの!「EXPO」へ行こうよ。

ミツカワです。

すみません。
前回予告した『小ネタ☆CAMP FANKS!! '89☆スペシャル』は、
先送りすることにしました。

理由は小ネタを書き出しているうちに、
1回では収まらない量 になってしまったから…。
さすがに、またこれから複数回に渡って『CAROL関連』にDIVEするのはデンジェラスすぎる
(還って来れない気がする)ので、一旦仕切り直しさせていただきます。
もちろんいずれエントリーしますので、お楽しみに!



で、今回は何をするかというと…





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どうにも 影が薄い奴 というのがいる。

前回取り上げた「INNOCENT BOY」などは、
あまりにも取り上げられないことによって、逆にネタとしての存在感を示すようになった。
つい、最近までは「一途な恋」もそうだった。


しかし、本当に影が薄い奴というのは、普段取り上げられないだけでなく、
『普段取り上げられない曲って何?』
という時でさえ話題にならない。
そういう奴がいるのである。





つまり「Tomorrow Made New」のことだ。
果たして Fanks の中に "この曲が好きで仕方がない” という人が、一体何人いるだろう?



『えっ?そんなの割といるでしょう?自分も好きだよ』と思うかもしれない。










違う、違う、そうじゃない(by 鈴木雅之)











あなたが今、思い浮かべた「Tomorrow Made New」は
「RHYTHM RED Tour」で新曲として披露された曲のことではないだろうか?


自慢じゃないが、このミツカワ。
「RHYTHM RED Tour」での「Tomorrow Made New」(以下 [RHYTHM RED ver.] )には、
まったく興味が無い。(←ホントに自慢じゃない)

今ここでミツカワが語りたいのは「Tomorrow Made New [RHYTHM RED ver.]」ではなく、
アルバム「EXPO」に収録された「Tomorrow Made New」(以下 [EXPO ver.] )の話だ。



実はミツカワ、TMN名義で一番好きな曲が
この「Tomorrow Made New [EXPO ver.]」なのだ。
しかし今だかつて、この[EXPO ver.]の方が好きという人に会ったことがない。





…試してみようか?





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さぁ、あなたはどのタイプかしら?
次のチャートに Let's try!
きっと、あなたにぴったりの素敵な彼(Tomorrow Made New)が見つかるはず ♥︎


バージョンにかかわらず「Tomorrow Made New」が好きだ。
            ↓
[RHYTHM RED ver.] よりも [EXPO ver.] の方が好きだ。
            ↓
TMN名義の全ての曲の中で(もちろん「We Love The Earth」よりも)
 [EXPO ver.] の「Tomorrow Made New」が1番好きだ!


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・・・・・





…ほ~ら、誰もいなくなったポコ…。・・・なったポコ…。

傷心を癒す旅に出るミツカワ。
さようならミツカワ。
ミツカワ先生の次回作にご期待ください!!






…というわけで、今回はいつものようなエントリーでは無い。
『春だもの!「EXPO」へ行こうよ。』などと楽しげなタイトルは完全に詐欺。
これは [RHYTHM RED ver.] 派のあなたと
[EXPO ver.] 派のミツカワとのガチンコ勝負なのだ!
そのため画像も動画もほとんど無い、ただひたすら情念の固まりのような文字の物量攻撃。

はっきりいって「Tomorrow Made New」に興味が無い方へは
全くおすすめ出来ないエントリー
となっていることを御断りしておく。



『絶対、あなたをふりむかせてやるんだからっ』
( ↑ すでに涙目)








…って、すでにこの時点でまだ誰か読んでます?…。







本題に入る前に1つだけ。
20年ほど前『TMの歌詞で相手のことを “お前” って呼ぶのは
「パノラマジック」だけなんだよね』とドヤ顔で語った某君へ。

「Tomorrow Made New [EXPO ver.]」もそうですからねっ!































                    ↑
映像商品化されたこともあり、根強い人気を誇る
「Tomorrow Made New @ RHYTHM RED Tour



映像どころか、写真すらロクに残っていない「Tomorrow Made New @ EXPO Tour








































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今回のテーマは、ガチンコ対決の前哨戦として
[TMの全楽曲中における
「Tomorrow Made New」の特異性]



今回は3つのポイントを確認していこう。


・T/M/N
・オルガンソロ([EXPO ver.]) 
・バウンスビート






・T/M/N

これについては発表時、かなり話題になったはずだ。
一見、意味不明の「Tomorrow Made New」というタイトルや
歌詞中に出てくる、これまた意味不明な「Thrill Mad Nature」という言葉の
頭文字をつなげると『TMN』となる。


というより、TMNとして初めてのツアーで披露される新曲として、
まず『TMN』ありきの歌詞発注だったのだろう。



結局、この件は一発ネタというか出オチというか、それ以上の発展は見せなかった。

しかし実はこの件、
[EXPO ver.] の成立過程に影響を及ぼしているのでは?とミツカワは考える。
これについては [RHYTHM RED ver.] と [EXPO ver.] の違いを分析する次エントリーに譲る。











・オルガンソロ [EXPO ver.] 

かなり意外だが 旧TM NETWORK 含め、TMN終了以前の楽曲で、
オルガンソロが正式にレコーディングされているのはこの曲だけである。


実はアルバム「Self Control」制作時にレコーディングされていたバージョンの
「Resistance」では、後半延々とオルガンソロがプレイされていた。
(ただし本物のオルガンではなく、おそらくDX系のFM音源だと思われる)
が、結果はご存知の通り『没』になる。


また、小室哲哉のソロだが アルバム「Digitalian is eating breakfast」に収録の
「HURRAY FOR WORKING LOVERS」では、エンディングでオルガンソロが始まる。
しかし、あっという間に曲自体がフェードアウト
してしまうため、ほとんど印象には残らない。




結果としてオルガンソロらしいオルガンソロが聴けるのは、この曲だけなのだ。





話がそれるが、アルバム「Self Control」発売直前の小室哲哉インタビューで、
「今度のアルバムは僕のキーボードソロもテーマの1つ」と語っていた。

しかし、フタを開ければソロらしいソロが聴けるのは
「Don't Let Me Cry」と「All-Right All-Night」の2曲だけ。
しかも「All-Right All-Night」は、既に3ヶ月も前にシングルとして発表済みであった為、
完全新曲としては「Don't Let Me Cry」だけであった。

当時、あの話は一体何だったんだと思ったが、
今考えると、その時点では「Resistance」が数に入っていたのだと分かる。
となると「Resistance」がアルバム「Self Control」から外されたのは、
かなり終盤だったということになる。










・バウンスビート

さて、一番興味深いのがこれだ。
TMN終了以前のスタジオレコーディングされた楽曲で、
基本のリズムが “バウンスビート” なのも、これまたこの曲だけなのである。




                 〜〜〜〜〜



詳しい話に入る前に “バウンスビート” について説明しておこう。

というのも厳格に規定されたクラシック用語に比べ、
RockやPopsで使われる用語の定義は、
使う人・時代・国、などによって、はなはだ曖昧だからである。

よって、ここでの説明も今回の解説の為、
当『重箱Blog』で規定する定義であることを御断りしておく。
(もちろん、なるべく一般的な定義をこころがけております)


以下の説明、少しでも分かりやすくなるよう一部加筆しました。
(2014.04.01)



“バウンスビート” とは “バウンスフィール” とも言われ、一言で言うと、
その名の通り “弾んだ(跳ねた)リズム” のことである。

通常なら、この説明だけで十分だと思うが、
この後 “シャッフル” という、同じように “跳ねたリズム”を指す用語が出てくるため、
その違いを明確にしておきたい。



“バウンスビート” が “弾んだ(跳ねた)リズム” である以上、
“シャッフル” もまた “バウンスビート” であることには違いない。
実際 “シャッフル” のことを指して “バウンスビート” と呼ぶ人もいる。(だから混乱する)



ただ、一般的に “シャッフル”といえば、跳ねた8ビートのことを言い、
“バウンスビート” と言った場合は、跳ねた16ビートを指す。
それゆえに “バウンスビート” のことを “ハーフタイム・シャッフル” という人もいる。
これは8分音符に比べて16分音符はその半分の長さ = つまりハーフタイムだからだ。






















『シャッフル』
均等に並んだ8分音符の後ろ(裏拍)が後ろにズレる。






『バウンスビート』
均等に並んだ16分音符のそれぞれ後ろ(裏の裏)が後ろにズレる。
この時 “シャッフル” の場合はズレていた裏拍(黄色の線)はズレないことに注意。





なお、跳ねたリズムはその性格上、ある程度遅いテンポではないと効果を発揮しない。
試しに口で「タッタ・タッタ・タッタ・タッタ」と言いながら、
だんだんスピードをあげてみてほしい。
ある程度スピードを上げると「タ・タ・タ・タ・タ・タ・タ・タ・」と
区別がつかなくなることが分かるだろう。



                 〜〜〜〜〜





さて、跳ねたリズムという事で言えば「Tomorrow Made New」以前の楽曲にも存在する。
アルバム「RHYTHM RED」に収録された
「WORLD'S END」と「BURNIN’ STREET」がそれだ。

このあと詳しく見ていくが、
ただ「WORLD'S END」「BURNIN’ STREET」共に、跳ねたリズムは
一部分に彩りを加えるための “アクセント” として使われているだけであり、
曲の基本リズムでは無いことは強調しておく。



また、スタジオレコーディングでなければ “バウンスビート” を基本とする曲が存在する。
「RHYTHM RED Tour」で演奏されたバージョンの「COME ON EVERYBODY」だ。
(DVD「RHYTHM RED LIVE WORLD'S END」参照)



そして、ここに登場する「Tomorrow Made New」を含めた4曲全てが
同じ時期(RHYTHM RED 期)に作られていることに注目してほしい。
その中でも特に「WORLD'S END」の CD ver. から Live ver. への変化
「Tomorrow Made New」の特異性を考えるときに重要であると考える。




どういうことか、それぞれ見ていこう。





「BURNIN’ STREET」(CD ver.)
中間部(2:08 ~ 3:13)で、一旦曲調が変わるところが “シャッフル” というリズムだ。
そこまでの直線的なリズムと違い、
まるでスキップしているような感じになるのが分かるだろうか。

しかしあくまで8ビートのため、完全な横ノリである “バウンスビート” と比べると、
まだ縦ノリの雰囲気を残している。
ちょうど縦ノリと横ノリの中間といったところだろうか。




「COME ON EVERYBODY [RHYTHM RED Tour ver.] 」
「RHYTHM RED Tour」で披露された、大胆なアレンジの「COME ON EVERYBODY」
オリジナルに比べかなりテンポが遅くなっているのは、
先ほど述べたように バウンスビートを生かすため だ。

こちらは16分音符が主体となっており、完全に横ノリである。
「BURNIN’ STREET」中間部とのノリの違いを確認してほしい。




「WORLD'S END」(CD ver.)
この曲のイントロ部(0:25 ~ 1:14)では面白いことが行われている。
この部分をボーと聞いていると、あまり跳ねた感じがしない。
それはバウンスビートの特徴である16分音符をドラム、ベース、共に弾かないためだ。

上に載せた“バウンスビート”の譜面で説明すると、
緑と黄色の線の部分だけで音を出し、青線の部分では音を出していない
つまり、判別しようがないのだ。


しかし、4小節毎に差し込まれるスネアのフィルを聴くと、
山木秀夫(アルバム「RHYTHM RED」でのDrummer)が
バウンスビートを感じて演奏しているのが分かる。(譜面参照)
リスナーもその瞬間、実はバウンスビートだと気付く仕掛けだ。

















赤丸の部分が「タ・タ・タ・タ・」ではなく「タッタ・タッタ」と聴こえるだろう。





しかし「RHYTHM RED Tour」で同じ部分を阿部薫が叩くとこうなる。(譜面参照)
「WORLD'S END」(RHYTHM RED Tour ver.)

















ここでは初めからスネアで16分音符のフレーズが挿入され、
あからさまにバウンスビートを感じさせる演奏となっている。
CDバージョンでの『仕掛け』を考えると、台無しとも言えるが、
ライブということを考えると、こちらの方が素直に気持ちよくノレる。






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さて、ここで
「Tomorrow Made New」の成立過程 を確認しよう。


「RHYTHM RED Tour」の合宿リハーサルは
1990年10月6日~20日までの2週間行われた。
他の曲と違い「Tomorrow Made New」は完全新曲のため、
この合宿で産声を上げることとなる。


「Tomorrow Made New」最初のセッションは、9日の夕方に行われた。
このとき小室哲哉が提示したのはコード進行と展開(構成)だけだったようだ。
これを元に、その場でヘッドアレンジ(※)が行われた。

(※)楽譜によらず口頭での指示や、
   各ミュージシャンそれぞれのアイデア出しによって編曲していく方法





また「Tomorrow Made New」に限らず、この時は
いつもなら前もって行われていた
小室哲哉によるライブアレンジ作業が無く、
サポートミュージシャン達との共同作業で一曲一曲アレンジされていった。


これは、いままでのツアーと違い「RHYTHM RED Tour」では、
機械の同期がほとんど使われなかったため、
いつもなら前もって行われていた膨大な量の打ち込み作業が無く、
あらかじめアレンジを確定させておく必要も無かったからだ。
(そのため小室哲哉も他のメンバーと同時に合宿入りした)




この経緯と、先の「COME ON EVERYBODY」「WORLD'S END」
それぞれのライブバージョンの例を合わせると、
「Tomorrow Made New」の持つ “バウンスビート” という個性は、
小室哲哉よりも、Drummer 阿部薫の
生理的、肉体的な部分から
自然発生的に生まれてきたのではないだろうか。






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もう一つ面白いのは、この翌年にリリースされた小室哲哉のソロアルバム
「Hit Factory」に収録された「Magic」「South Beach Walk」の2曲が
 “バウンス” している ということだ。

小室哲哉自身が “今後にも使えそうな新しいパターン” と発言していたように、
TMの活動が続けば、新たなカードになる可能性もあった。




しかし時期は近いが、この「Hit Factory」における “バウンスビート” は
機材的な都合であり「Tomorrow Made New」とは発想の原点が根本から違う。

この件に関しては、またそれだけでエントリー1本分になるのでここでは省略するが、
ミツカワは両者の “バウンスビート” の源泉を、それぞれ

・「Tomorrow Made New」→ Drummer 阿部薫のフィジカルな部分
・「Hit Factory」の2曲   → このアルバムで使われた AKAI MPC の機材的な特徴

ではないかと考える。





なお、1999年の再結成時は小室哲哉がR&Bに傾倒していたせいで
「IT'S GONNA BE ALRIGHT」「10 YEARS AFTER」と、2曲跳ねたリズムが続くが、
それ以降はまた、とんとさっぱり姿を見せなくなる。
せいぜい木根尚登の書いた「N43」くらいだ。(2014年3月末現在)



こう見ると少し意外な感じがするが、
少なくとも『TM NETWORKにおける小室哲哉』の中には
あまり『跳ねる』ことへの欲求は無いように見える。
ホント意外であるが…。




ちなみに「I am 2013」のイントロ(0:41 ~ 1:00)では、
元の「I am」のリズムの上に、新たに付け足されたアルペジエーターのリズムが重なり、
原曲の縦ノリが横ノリへと変化していて面白い。
が、これは狙って横ノリにしようとしたのではなく、
偶然の産物 だと思われる。







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以上、 [RHYTHM RED ver.]  [EXPO ver.] に関わらず、
「Tomorrow Made New」が特異な立場の曲だと分かっていただけただろうか?
本人達が一番自覚してなさそうな気がするが…。


さて次回は、いよいよミツカワ的大本命!
[EXPO ver.] は [RHYTHM RED ver.] と比べ、何が違うのか?
(と言うか、どこが好きなポイントなのか?)に迫っていきます。




ところで、ミツカワはなぜ唐突に「Tomorrow Made New」の話を始めたのか。
勘のいい方はもうお気付きだと思います。

そう! 次回のエントリータイトルはズバリ
『日本EXPO化計画 
 ~ 俺に [EXPO ver.] を弾かせろ
お楽しみに!!




…て、ここまでたどり着いた人何人いるんだろ…。
んじゃ、また。







2014年3月18日火曜日

ミツカワの・第4回・小ネタ☆スペシャル

ミツカワです。

暗く長い洞窟『CAMP FANKS!! 地獄』を抜け出して、
半年ぶりに『CAROL成分』を一切含まないエントリーをお届けします。

今回は、すっかりナマってしまった肩のリハビリを兼ね、
久々の『小ネタ☆スペシャル』です。






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(小ネタ No.04-1)
[ファンタジスタ☆木根尚登]


最初は軽く、肩慣らし程度のネタ。

DVD「FANKS the LIVE 2 KISS JAPAN DANCING DYNA-MIX」のオープニングナンバー
「Be Together」演奏中、木根尚登のボトルが足元に落ちてしまうが、
それを彼が見事な足技で跳ね除け、危機を回避するという場面。


この時点で「あー、アレね」と思った方は、どうぞ次のネタへお進み下さい。
なんのこっちゃと思った方は続けてお読みいただきたい。




それは2番のAメロ「♪街に踏み出せ~」で起こる。





       木根尚登の背後、ワイアレス受信機の上に置かれたボトルが…
























             ↓


         落下!(街に踏み出した結果がコレだよ!)



























しかも、もろにステップを踏んで踊っている足元に落ちてしまったため、
スタッフも近寄るタイミングを取りあぐねたか、
しばらく放置プレイが続く。


このままでは邪魔なだけではなく、危険だと思ったその矢先、
昔取ったキネウツ…もといキネヅカ!
華麗な足技でボトルを横パスをする木根尚登の姿が!
見事な危機回避である。


その決定的瞬間はあえて画像は載せない。
箇所は2番終わりの「♪Shake my soul 」
ぜひ御自分の目で、その顛末を確認していただきたい。





実はこのネタ、DVDを見ていて気づいたのではない。
当時、代々木体育館でこの現場を生で目撃したのだ。
ただ、ボトルの落下した様ははっきり覚えているのだが、
肝心の「Be Together」が
どんな演奏だったかは全く記憶にない。


まぁつまり、昔からミツカワはそういう奴だったというお話。









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(小ネタ No.04-2)
[JEAN WAS LONELY ~ 疑惑の8小節]


次も木根尚登が主役。
ただし少々物議を醸し出すネタである。


このネタ、昨年より書こうか書くまいか延々と悩んでいた。
何故なら たいした根拠が無く、ミツカワの勘でしかないからだ。

しかしせっかくのインターネット。多くの方の意見を聞かせてもらい
間違いなら間違いと正していただいた方が建設的だと考え、ここに書き起こすことにした。




DVD「TMN EXPO ARENA FINAL」に収録されている「JEAN WAS LONELY 」
イントロから木根尚登のエレピ(エレキピアノ)演奏がフィーチャーされ、
その瞬間、あたかも舞台は彼のために存在しているかのようだ。(※)


















    (※)なお、この曲は「EXPO tour」でも同じアレンジだが、
       ここでは "映像商品化され、皆さんで検証が可能" という意味で
       「EXPO ARENA tour  ~Crrazy 4 You~」に話を絞る。








ズバリ言おう。
この曲の頭から8小節間。木根尚登は本当に弾いているのだろうか?








       ね、物議を醸すでしょう?








はじめに Drumer 阿部薫のカウントが入るものの、
そこから4小節間はガイドになるリズムもなく、
完全に木根尚登の独演 である。

にもかかわらず、5小節目から入ってくる打ち込みのパーカッションと
ぴったりタイミングが合っている。


通常、このようにするためには
機械の出す "クリック” (メトロノームの様なもの)を聞きながら演奏しなければならない。
(詳しくはこちらのエントリーを参照)
がこの時、彼は ヘッドホンもイヤホンも着けていない。





下の画像は2枚とも「JEAN WAS LONELY 」耳にはなにも着けていない。








































ちなみに、普段はヘッドホンをしていなくても
“必要な時だけわざわざ着ける” ということもライブではよくある。
たとえばラストライブ 5.19「CAROL組曲」での小室哲哉がそうしている。

このときは「a Day In The Girl's Life」と「CAROL (Carol's Theme I)」の間のように
データは動き続けているのにガイドになるドラムが抜けて
自分1人だけが残る箇所がある為、クリックを聞く必要があるわけだ。
DVD「TMN final live LAST GROOVE 5.19」より
































「JEAN WAS LONELY 」の話に戻ろう。

さらに5小節目から入ってくる打ち込みのパーカッションも
モニターで聞いているだけでは、あっという間に
小説頭、拍頭を見失ってしまうような単調なループである。

それでも木根尚登の弾くエレピと、
9小節目から入ってくるバンドのタイミングとは完璧に合っている。




つまりこの場合、機械に木根尚登が合わせるのではなく、
木根尚登に機械が合わせていることになってしまう。
どうやったらそんなことができるのだろう?








しかしここまで述べた疑問点は、あくまで後付けの理屈である。
ミツカワが1番最初に怪しいと睨んだ理由はこれだ。

            ↓

1人スポットライトを浴びて弾く、
木根尚登のフリが わざとらしい。


ちなみに確実に弾いている9小節目以降は、
とても自然なキーボーディストのアクションである。







つまりミツカワには
頭の8小節は打ち込みで鳴っている音に合わせた『アテブリ』で、
実際にはバンドの入ってくる9小節目から演奏している。
と見えるのだが、皆さんはいかがお考えになるだろうか?


先にも書いたように確たる証拠は一切無い。
この項に関しては異論反論大募集であります。









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(小ネタ No.04-3)
[機械の鼓動に耳を澄ませ]


さて今度はクリックつながり。
ただし先ほどとは違い、今度はレコーディングで使われるクリックである。


このクリックはあくまで制作中のガイドのためのものであり、
完成品では当然聞くことができないし、聞こえてはならない。



しかし稀に完成品の録音物から、うっすらと聞こえてしまうものがある。
例えばYMOの1stアルバムに収録されている彼らの代表曲
「東風(TONG POO)」のイントロに耳を澄ますと、
うっすらとクリック音が聞こえてくるのは有名な話だ。
(特に当時、イギリスでシングルカットされたバージョンでははっきり聞こえる)


         クリック音が聞こえてしまい落ち込むYMOの方々







これは録音時、各ミュージシャンの着けているヘッドホンから、
うっすらと漏れてしまったクリック音を、マイクが拾ってしまうことなどにより起こる。
もちろんそうならないよう、録音からミックスまでエンジニアは目を光らせているわけだが、
まれにその厳密なチェック網をすり抜けてくる猛者がいるのだ。



では、我らがTM NETWORKの楽曲でクリックが聞こえてしまっているものはないだろうか?
と、ここまで煽っておいて『ありません!んじゃ、また。』では 暴動が起こるので、
まだ命が惜しいミツカワとしては必死になって探してみた。







では、発表しよう。
TM NETWORK 名義でクリックが聴ける曲とは…








         アルバム「CHILDHOOD'S END」収録の
     「INNOCENT BOY」である。









来たー! 来たゾー!! 皆の衆ー。

苦節29年、遂に
「INNOCENT BOY」に光が当たる時 が来たぞえー。




…とは言っても歌詞やメロディーなどでは無く、
あくまで "聞こえてはいけないものが聞こえてしまっている" という
本来ならマイナスの話題なのだが…。

『ぐへへ「INNOCENT BOY」ちゃん、クリックが聴こえちゃってるよ~』
『イヤ~ん、ミツカワさんのエッチぃ』








         閑話休題。








この様な些細な音を聴き取るには、マスタリングの違いも大きく影響する。
ミツカワが現在聴いているのは、
20周年記念BOX「WORLD HERITAGE DOUBLE-DECADE COMPLETE BOX」
のものだということをお断りしておく。

また、流石にヘッドホンやイヤホンでないと聴こえないと思われる。
各自、装着願いたい。




問題の箇所は曲の冒頭 0:01~0:03 の間
まだパーカッションだけが左右で鳴っている部分。
この時、何も鳴っていない筈の真ん中 に集中してみよう。

うっすらと「キッコッコッコ・カッコッコッコ」と聴こえるだろう。
どうやら8分音符間隔で打ち込まれている様で、かなり速い(せわしない)クリックだ。
さらに左からもかすかに聴こえているようだ。





何度も書くが、これは本来聞こえてはいけない音。
しかし、今となっては貴重な歴史的資料だろう。
彼らは確実にこの音を聞いてレコーディングしていたのだ!

この音の向こう側にレコーディングスタジオの彼らが見えるようで、
ちょっとワクワクしません?






























          期待の新人「多摩 イノセント ボーイズ」の方々









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いや〜、ほんと久しぶりに『CAROL』ネタから離れて、
のびのびと書くことができ、楽しかったです。


さて、肩も暖まってきたところで
次回は『小ネタ☆CAMP FANKS!! '89☆スペシャル』の予定です。



… ってアレッ? アレ〜?!



ん、んじゃ、また(汗)。