ミツカワです。
前回、「TMN COLOSSEUM」の検証を始めると発表した途端、
ソニーから「TMN COLOSSEUM」の [Blu-spec CD2] 発売だそうです
まるでこの企画が Blu-spec 発売に合わせたステマみたいになっちゃって、
なんともまいっちんぐ。
なんであれ、現役としてラインナップが更新されることは喜ばしく、
ケチをつける気は毛頭無いのですが
ただ、同時発売の「TMN GROOVE GEAR」、
ただ、同時発売の「TMN GROOVE GEAR」、
ライブ音源はともかく、デモ音源の高音質化 って
意味が有るんだか無いんだかよく分からない今日この頃、いかがお過ごしでしょう。
ミツカワです。
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"架空のツアーアルバム" と銘打たれたCD「TMN COLOSSEUM」
その編集を一曲一曲「材料」レベルに分解し、レシピを解き明かそう
というのがこの企画の趣旨だ。
というのがこの企画の趣旨だ。
記念すべき第1回は「TMN COLOSSEUM Ⅰ」収録の
「Ipanema'84」を採りあげる。
「Ipanema'84」を採りあげる。
この曲は皆さん御存知の様に、
1987年6月24日
TM NETWORK 初の武道館公演
「FANKS CRY-MAX」での演奏 であり、
TM NETWORK 初の武道館公演
「FANKS CRY-MAX」での演奏 であり、
「TMN COLOSSEUM Ⅰ&Ⅱ」を通して一番古い時期のライブ音源となる。
また「TMN COLOSSEUM Ⅰ」の中では、
唯一の打ち込みの入らない完全生演奏曲でもある。
唯一の打ち込みの入らない完全生演奏曲でもある。
この曲を最初に選んだのは
・記念碑的な公演だけに、判断材料となる資料が豊富。
・一日限りの単独公演なので、編集素材のテイク違いを気にしなくてよい。
ということもあるのだが、なにより初めてこのCDを聴いた時、
真っ先に違和感を覚えた曲だから、
ということがある。
ということがある。
この違和感については、後でじっくり述べるが、
結果としては『ああ、やっぱり…』という思いである。
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今回の主役、「イパネマ ’84」には
・「イパネマ '84」(CD「RAINBOW RAINBOW」における表記)
・「Ipanema '84」(CD「TMN COLOSSEUM」における表記)
・「イパネマ ’87」(武道館公演での公式名称。
当時の雑誌等のライブレポートでもこう表記された・注)
・「Ipanema ’87」(DVD「FANKS the LIVE 1」における表記)
と、4つの表記が存在するが、ここでは混乱を避けるため、
曲名は全て「イパネマ」と表記する。
注・もっとも、その武道館公演のMCで
宇都宮隆は「イパネマ '84」と言っているのだが、
これはいつものことなので、深く考えないこととする。
今も昔も、TMファンには高度なスルー・スキルが要求される。
次に今回使用した判断資料だが、
DVD「FANKS the LIVE 1 FANKS CRY-MAX」をメインとし、
1987年にNHKラジオで放送された録音中継の音源も参考にした。
このエントリーでは、
・CD「TMN COLOSSEUM Ⅰ」収録の「イパネマ」を →『コロシアム版』
以下、同様に
・DVD「FANKS the LIVE 1 FANKS CRY-MAX」→『DVD版』
・NHKラジオ →『ラジオ版』
・CD「RAINBOW RAINBOW」収録のスタジオ音源 →『オリジナル版』
と表記する。
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『コロシアム版』以前に、判断基準とする
『DVD版』自体の音が編集されていたら元々も子もない。なのでまず、
『DVD版』自体の音が編集されていたら元々も子もない。なのでまず、
DVD「FANKS the LIVE 1」自体の検証
から始めることとした。
から始めることとした。
とりあえず『DVD版』の映像を視たかぎり、
演奏者それぞれの楽器を押さえている手の位置(ポジション)や、タイミング等から、
出るであろう音と聴こえてくる音声に、矛盾は感じなかった。
ただこの曲の映像は照明が暗いシーンが多く、特にサポートメンバーの手元が分りにくい。
そこでもうひとつ、当時NHKラジオで放送された録音中継番組も参考とした。
このラジオ番組は実際のライブからまだ1ヶ月程度の1987年7月31日に放送されており、
この武道館の「イパネマ」が最初に世に出たのが、この放送だ。
(1988年3月28日深夜にも再放送された)
とは言え、当時ミツカワの録音したものは音質がひどいこともあり、
ミックスの差までははっきりと比較できない。
ただ、この曲の “演奏” に関しては『DVD版』と『ラジオ版』の差は見つからなかった。
しかし同『ラジオ版』での「Self Control」のヴォーカルは、
DVD「FANKS the LIVE 1」及び
シングル「Kiss You」B面収録の「SELF CONTROL (VERSION "THE BUDOHKAN”)」
のそれとは 明らかに異なっており、
シングル「Kiss You」B面収録の「SELF CONTROL (VERSION "THE BUDOHKAN”)」
のそれとは 明らかに異なっており、
後者2つは、後から手を加えている事が分る。
こうしてみると『ラジオ版』は、数ある「FANKS CRY-MAX」音源の中でも
一番、手の加えられていない『素材そのまま』の状態のようだ。
以降、ここを出発点として判断していくことにする。
そのうえで「イパネマ」に関しては、この『ラジオ版』と『DVD版』に差異は感じない。
結果として、DVD「FANKS the LIVE 1」の「イパネマ」に関しても
音量バランスなどは編集されている(注)ものの、
演奏内容自体は手は加えられていないと判断した。
演奏内容自体は手は加えられていないと判断した。
全編を通して通常のライブ盤でありがちな、ミスタッチの修正や、
抜けた音の補正等も特に見当たらない。
改めて言うまでもないが、
非常に素晴らしく、また楽しげな演奏だ。
非常に素晴らしく、また楽しげな演奏だ。
(注)実際のライブでは木根尚登のコーラスがやたら大きく、
完全にツインヴォーカルのようだった記憶が・が・が
完全にツインヴォーカルのようだった記憶が・が・が
さあ、ここまでくればいよいよ本番である。
あとはただひたすら『DVD版』と『コロシアム版』を聴き比べるだけだ。
こちらの違和感はヴォーカル。声そのものである。
本エントリーの山場もココとなるのだが、本丸に討ち入る前に
先にバンド演奏など、その他の編集を見ておこう。
・バンド演奏について
この曲に限ったことではないが、聴き比べ以前に『コロシアム版』は『DVD版』と
あまりにも音質が違っていて たじろいでしまう。
あまりにも音質が違っていて たじろいでしまう。
特にドラムは空気感が薄く、まるでドラムマシンの様な音質だ。
しかし『DVD版』と『コロシアム版』
演奏内容自体には特に差異は見つからない。
演奏内容自体には特に差異は見つからない。
例えば木根尚登の弾く12弦ギター。
全編にわたり、コードをかきむしる様に鳴らしているが、
Aメロ部分。2番の
Aメロ部分。2番の
♪水平線ユラユラ~(ジャカジャカジャカ)← と
♪おかまいなし~(ジャカジャカジャカ)←
のところだけ、他の同じ部分に比べ、1弦の音が目立つ。
♪おかまいなし~(ジャカジャカジャカ)←
のところだけ、他の同じ部分に比べ、1弦の音が目立つ。
これは『コロシアム版』と『DVD版』共に共通していて、
同じ素材(演奏)であることを物語っている。
同じ素材(演奏)であることを物語っている。
他の楽器類も同様で
『コロシアム版』にも編集は加えられていないようだ。
余談ではあるが、この『コロシアム版』
『DVD版』ではほとんど聴こえなかった
木根尚登が弾くYAMAHA「DX100」によるシンセリフ、
木根尚登が弾くYAMAHA「DX100」によるシンセリフ、
及び12弦ギターによるアラビアンスケールのギターソロがはっきり聴こえる様になって
なんだか報われた気分になる。
(今度は逆に大きすぎるような気もするが)
(今度は逆に大きすぎるような気もするが)
琵琶法師 in 武道館
・イントロ尺編集
冒頭、小室哲哉が演奏を始めてから、バンドがジャーンと入ってくるまでの部分。
『DVD版』で聴ける様に、本来なら12小節有ったところを、
『コロシアム版』では4小節カットされ、キリの良い8小節に編集されている。
頭の4小節ではなく、8小節~11小節目をカットして
7小節目の終わりから12小節目の頭につながるように編集されている。
(小室哲哉の右手より左手のリズムに注目すると判りやすい)
この曲に限らず「TMN COLOSSEUM Ⅰ&Ⅱ」では尺の編集が随所に見られる。
CDの尺に収めるためと、特に繰り返し部分など、
映像のない音だけの状態では間延びした感じになるのを避けるためであろう。
後述のボリューム調整とは異なり
この尺編集には丁寧な印象を受ける。
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[その他、気になる点を少々…]
・曲全体の長さ
『コロシアム版』の方が『DVD版』に比べて若干長い。
ただこれは、制作時期の違い(マスターテープの状態)や、
テープの再生機材の違いにより生まれた誤差であろう。
なのでここでは考慮しないこととする。
・ボリューム調整が過剰
例えば曲後半、ギターソロが終わった後。
最後のサビが始まる前の4小節。
小室哲哉と木根尚登の弾くシンセ・リフのボリュームが極端に大きい。
特に頭の1拍目~2拍目にかけて、まるでフェーダーを
にゅるんと上げたように聴こえて気持ち悪い。
結果、本来の演奏にあった
動(ギターソロ)→ 静(シンセのリフ)→ 動(最後のサビ)という
メリハリが薄くなってしまっている。
メリハリが薄くなってしまっている。
ピンとこない方は『DVD版』と聴き比べてみてほしい。
この様な作為的な調整は、この曲に限らず「TMN COLOSSEUM Ⅰ&Ⅱ」を通して見られ
この作品にまとわりつく『作り物感』の一因だと思う。
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・ボーカル編集
さて、問題はここからだ。
一聴して分かる様に『DVD版』とは、声質が違いすぎる。
個人的な話だが、ミツカワにとって宇都宮隆の魅力は、
どんなに張って歌っていてもその輪郭部分に、滲みというか、くすみというか、
角の立たない ”緩衝地帯” の様な部分があるところだ。
そこがとても心地よく、素直な歌い方と合わせ、長時間聴き続けても疲れない。
しかしこの『コロシアム版』で聴ける声は、薄くペラペラな感じで、
大袈裟に言えばヘリウムガスを吸ったような声に聴こえる。
今でこそ慣れてしまったが、初回視聴時にはギョッとしてしまった。
特に前曲「Crazy For You」で聴ける歌声が、
馴染みのある『宇都宮隆の声』(♪WowWowWow~ばかりだが)なだけに、
「イパネマ」に移った途端に『別人?』と思ったくらいだ。
音質が違うと言えば、楽器類や他の曲でのヴォーカルもかなり違うが、
これはミックス作業の違いによるものである。
しかし「イパネマ」でのヴォーカルは、そういうレベルの違いではない。
ここに何かが隠されているのだ。
では、いよいよ『DVD版』と『コロシアム版』
ヴォーカル部分の聴き比べ結果 を発表しよう。
ヴォーカル部分の聴き比べ結果 を発表しよう。
赤字の部分が『DVD版』と異なる部分だ。
ただしこれは、あくまでミツカワが
”確実に違う” と言える部分であり、
”確実に違う” と言える部分であり、
その前後もそっくり入れ替わっている可能性がある。
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まず、誰にでもはっきりと分るのが、
1番Aメロの ♪ニュースしゃべるラジオ~
1番Aメロの ♪ニュースしゃべるラジオ~
なにせ、この通り ↓ メロディーの符割が違うのだ。
もうひとつ判りやすいのが、
2番サビ頭 ♪時計を砂浜に~
2番サビ頭 ♪時計を砂浜に~
『DVD版』(実際のライブ・テイク)では、しゃがれ声で音程も上がりきっていない。
しかし『コロシアム版』では澄み切った声で伸びやかに歌っている。音程もバッチリだ。
この2つが違うものであることがお分かりいただけるだろう。
この部分は明らかに別テイクである。
しかし、そうかと思うと
2番サビ直前の♪Say No More~ の節回しは『DVD版』のそれと一致する。
2番サビ直前の♪Say No More~ の節回しは『DVD版』のそれと一致する。
つまり本来のテイクをベースに、
節々を ”何らかの別テイク” に差し替えてあるわけだ。
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エントリー冒頭で確認したように
この「イパネマ」は1987年6月24日 日本武道館における
「FANKS CRY-MAX」での演奏である。
「FANKS CRY-MAX」での演奏である。
つまり1日限りの単独公演であり、
差し替えに使える 別テイクなど存在しない はずだからだ。
「FANKS CRY-MAX」どころの話では無い。
そもそも「イパネマ '84」はデビューしてから1年の間に、
数える程しかライブで演奏されたことがないのだ。
”何らかの別テイク” など、
どこに存在しているのか?
どこに存在しているのか?
なんともミステリアスガールなキャッツアイだ。
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しつこく指摘してきた、その『声質』だ。
この声質。皆さん
どこかで聴き覚えがないだろうか?
どこかで聴き覚えがないだろうか?
そう、ここで使われている ”何らかの別テイク” とは
1984年リリースのデビューアルバム「RAINBOW RAINBOW」収録のスタジオ音源。
『オリジナル版』そのものである!
つまり、ライブ・テイクじゃないのだ!
つまり、ライブ・テイクじゃないのだ!
そんなのありかYo!
『架空のライブツアー』と言えば何をやっても許されるのか?
この手法、『ライブ盤とはなんぞや』と世に問う、
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最初に名前を挙げた
「SELF CONTROL (VERSION "THE BUDOHKAN”)」も同じ編集がなされている。
「SELF CONTROL (VERSION "THE BUDOHKAN”)」も同じ編集がなされている。
つまり伏線だったわけだ。
一応検証してみよう。
ミツカワがこの部分は『オリジナル版』だと確信したのが、主に次の2点だ。
[ニュアンス]
まずは、宇都宮隆の特徴的な歌い方である
”語尾をしゃくりあげる” そのニュアンス
”語尾をしゃくりあげる” そのニュアンス
(ピッチを変化させるスタート地点と終着点、その長さ、およびスピードなど)に注目した。
歌詞やメロディーと異なり、このニュアンスというのはなかなか文字に表しづらく、
自分の力量の無さがもどかしいかぎりではあるが、その中でも判り易いところをひとつ。
2番Aメロ
♪ふたり乗せて ぐるぐる~ の『る~』
この『る~』の部分は『DVD版』では単なるしゃくりあげであるが、
『コロシアム版』では独特の表情が付けられている。
無理を承知で、あえて文字化してみると
『DVD版』→ ♪る~⤴(アクセントは「る」にある)
『コロシアム版』→ ♪るう⤴(アクセントは「う」にある)
この独特の表情が『オリジナル版』と完全に一致するのだ。
この一致は決定的 だと判断した。
[濁音の処理]
♪ニュースしゃべるラジオ~ の『べ』の発音。
かねてより宇都宮隆が発言しているように、
レコーディングとライブでは歌い方が全く違う。
彼曰く、レコーディングは頭で歌うとのこと。
これは歌手に限らず役者、アナウンサーなど
人前で言葉を発する人が必ず意識することだが、
あらかじめ濁音や半濁音など、1文字1文字チェックをして、
ここでは角を立てないほうが良いのか、立てたほうが効果的なのかを
検討・確認したうえで本番に臨む。
これがつまり、頭を使って歌うということなのだが、
ここで『オリジナル版』の歌い方に注目してみると
濁音『べ』の発音が角が立たないように気を使っているのがわかる。
ではライブではどうなのだろう。
『DVD版』を聴けば、勢いよくはっきり『べ』と歌っている。
もちろんこれは角を立てようと意識しているのではなく、
細かいディテールに気を取られず、バンド演奏に身を委ね、
感情をそのまま表現する、ということに集中しているわけだ。
よって先ほどは軽く流したが、デビュー直後のライブにおける「イパネマ」でも、
この『べ』は角が立っている方が多い。
(もうひとつ。デビュー直後1984年中のライブでは、少し油断すると
歌い方が "SPEEDWAYの宇都宮隆" になっている場面が見受けられる。
これも差し替えの素材としては向かない理由だ)
(もうひとつ。デビュー直後1984年中のライブでは、少し油断すると
歌い方が "SPEEDWAYの宇都宮隆" になっている場面が見受けられる。
これも差し替えの素材としては向かない理由だ)
さて『コロシアム版』の同じ部分を聴いてみよう。
角を立てず優しい印象で、
『オリジナル版』の歌い方と一致していることが分るはずだ。
『サシスセソ』が『シャシシュシェショ』になってしまうクセだ。
これはあくまでライブでの話で、さすがにスタジオ録音ではこのようなことは無い。
これを頭に入れて『コロシアム版』と『DVD版』を聴けば、その違いに気付くだろう。
これはあくまでライブでの話で、さすがにスタジオ録音ではこのようなことは無い。
これを頭に入れて『コロシアム版』と『DVD版』を聴けば、その違いに気付くだろう。
是非、皆さんも上記3つのポイントを頭に入れて、
聴き比べにチャレンジしていただきたい。
聴き比べにチャレンジしていただきたい。
(と言って、本当にこんなヒマなことをやる人がいるとは思わないが)
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DVDとは違い、CDでは音だけで勝負しなくてはならない。
まして、いろいろな時期のライブ(いろいろなコンディションでのヴォーカル)を
ひとつの作品にするにあたって、
なるべく音質を統一する必要がある。
なるべく音質を統一する必要がある。
これは「TMN COLOSSEUM」という企画だからこそだ。
ボーカルに限らずドラムの音なども、
なるべく通して聴いたときに違和感が出ないよう調整されている。
しかし他の収録曲と比べてもやはり、この
「イパネマ」の声質は独特であり、やりすぎである。
「イパネマ」の声質は独特であり、やりすぎである。
ここまでする必要は何だったのだろう。
当初スタッフは編集にあたって「FANKS CRY-MAX」が単独公演の為、
他に使える素材が無いことに頭を抱えたことだろう。
そこで 窮余の策として、
元のオリジナル音源から抜いたヴォーカルトラックを切り貼りするという
(ミツカワとしては禁じ手に思えるが、実は意外とある)手にうってでた。
元のオリジナル音源から抜いたヴォーカルトラックを切り貼りするという
(ミツカワとしては禁じ手に思えるが、実は意外とある)手にうってでた。
しかし、さらに立ちはだかった壁が
この数年間における声質の変化 + 当日のシャガレ声である。
この数年間における声質の変化 + 当日のシャガレ声である。
1986~87年当時、宇都宮隆自身が語っていた様に
ツアーを重ねる毎に喉が鍛えられ、デビュー当時は細かった声質が太くなってきた。
これに加えて有名な話だが、1987年6月24日「FANKS CRY-MAX」当日、
宇都宮隆は風邪気味で喉はガラガラであった。
アンコールの「Fool On The Planet」などは
メモリアルな演奏にかかわらず、節々がかなり厳しいことになっており残念である。
(もっとも実際のライブでは客席、皆舞い上がっていてそんなこと気にならなかったが)
結局この壁を「両者の音質を無理やり合わせる」と言う形で
正面突破した結果が、
正面突破した結果が、
『コロシアム版』の不自然な声質では無いだろうか?
細い音質を太くすることは難しいが、太い音質を細くすることなら容易い。
そこで太いシャガレ声を『オリジナル版』の細く澄んだ声に近づけようとしたものの、
やはり無理があり、
結果『コロシアム版』で聴ける、ペラペラの声質になってしまったと思われる。
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実作業は決してイージーなやっつけ仕事では無い。
このライブバージョンと『オリジナル版』では、一聴して判るように
まずテンポが全然違う。
まずテンポが全然違う。
またそれだけではなく、最初に確認した様に
この曲は打ち込みの入らない完全生演奏である。
つまり常にリズムが揺れている状態であり、
別テイクを持ってきたからといって、簡単にポンとはめ込めるものではない。
必要箇所を切っては貼り、
音質が変わりすぎないよう(変わっているが)注意を払いながら、
音質が変わりすぎないよう(変わっているが)注意を払いながら、
テンポを合わせ、ピッチを修正、という地味な作業を何度も繰り返した賜物である。
このCD「TMN COLOSSEUM」には、TMメンバーは関わっていないものの、
クレジットにはシンクラヴィア・オペレーターとして、
当時小室哲哉のローディーを担当していた、高橋拓也氏の名前が記載されている。
(所属は小室哲哉の新事務所『OPERA GIG』となっている)
当時小室哲哉のローディーを担当していた、高橋拓也氏の名前が記載されている。
(所属は小室哲哉の新事務所『OPERA GIG』となっている)
上記の編集にシンクラヴィアが使われたのだろうか?
なお、先に赤字で示した編集箇所のほとんどは、
『オリジナル版』と差し替えただけだと思われるが、
『オリジナル版』と差し替えただけだと思われるが、
一部は元のライブ・テイクのピッチを修正、
また、元のライブ・テイクにオリジナル版を重ねる、
等の手法も取られている可能性がある。
等の手法も取られている可能性がある。
これを期に、この重箱のスミの
さらに重箱のスミを突つかれる方達
が現れることを願ってやまない。
いやほんと。
さらに重箱のスミを突つかれる方達
が現れることを願ってやまない。
いやほんと。
不毛にも思える編集作業ではあるが、だがしかし、
その精度は驚異的だ。
その精度は驚異的だ。
分かって聴いていてもその継ぎ目に違和感が無く、なかなか気づかない。
もっともミツカワの感じたように
全体に違和感があっては意味ない ような気もするが。
全体に違和感があっては意味ない ような気もするが。
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・コーラス
木根尚登によるサビのコーラスパート
『オリジナル版』ではBメロとサビ部分で、
メロディーの下をハモると言う形をとっている。
メロディーの下をハモると言う形をとっている。
実際のライブでもBメロは歌っている。
問題はサビの部分だ。
『DVD版』では ♪Deep!や ♪you!などの
掛け声部分しか歌っていない。
掛け声部分しか歌っていない。
しかし『コロシアム版』を聴くと、
曲中3回あるサビ全てにおいて、宇都宮隆と一緒に歌っている。
曲中3回あるサビ全てにおいて、宇都宮隆と一緒に歌っている。
ひょっとすると『DVD版』のコーラスボリュームが小さいのかと思ったが、
映像で確認してもやっぱり歌っていない。(画像参照)
2番のサビが判りやすい
これはつまり『オリジナル版』のスタジオ音源から、
どさくさに紛れてメインヴォーカルと一緒にお引っ越ししてきたと思われる。
なんだかんだ言って、キネちゃんもやることはやっているわけである。
しかし、メインヴォーカルの編集が『修正』だったのに対し、
こちらは本来歌っていなかったものを歌っていたことにしているわけで、
これはもう、新たなる創造(捏造とも言う)と言ってよいのではないか?
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まだ、最大の謎 が残っている。
どうしてそこまで苦労して
「イパネマ '84」をセレクトしたのか?ということだ。
「イパネマ '84」をセレクトしたのか?ということだ。
記念すべき武道館公演の音源を収録したかった、というのは分る。
しかしなぜそこで、代替テイクの存在しない(先立つツアー等でも演奏していない)
「イパネマ '84」だったのか?というのは、いまひとつ分らない。
「イパネマ '84」だったのか?というのは、いまひとつ分らない。
すでに同じものがDVDに収録されている。
ラジオでも放送された。
確かに「イパネマ ’84」のライブバージョンは超レアではあるが、
もうお腹いっぱいだ。
もうお腹いっぱいだ。
武道館公演の演奏曲で、他にもまだ世に出すべきものがあっただろうに、
なぜ「イパネマ ’84」ばかりがゴリ押しされるのか?
もはや「イパネマ」界隈から黒い金が流れたとしか考えられない。
制作者を問い詰めた気分でいっぱいである。
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[コロシアムを暴け] 第1回、いかがだったでしょう?
結局「TMN COLOSSEUM」収録の「Ipanema '84」は、
ヴォーカルとコーラスに限って言えば、
'87と'84を目まぐるしく行き来していることになります。
'87と'84を目まぐるしく行き来していることになります。
この曲のからくり。ミツカワは発売当時に気付いていたのですが、
いざ人様に伝えるために文章化するとなると
根拠のほとんどが ”ニュアンス” などという曖昧なものの為、
確固たる証拠を、そのしっぽを捉まえるのに、思いのほか苦労しました。
実は「TMN COLOSSEUM」中、
ヴォーカルの声質に違和感を感じる曲がもうひとつあります。
そちらは分析の結果、何が出てくるのか?また楽しみです。
なお、前回お伝えした様にこの企画は不定期です。
のんびりとではありますが「TMN COLOSSEUM」全曲制覇を目指し
夢はでっかく、いざとなったらウヤムヤに、との
高く低い志しでボチボチやっていきますので
どうぞよろしくお願いします。
んじゃ、また。
(この1曲で終わったらそれはそれで
『ドン・ドラキュラ』みたいで 伝説だよな)
『ドン・ドラキュラ』みたいで 伝説だよな)